2月のPCEは弱さも見せながらも強さもあり判断が非常に難しいもの

インフレの動向を考える上で非常に重要なPCEの発表が昨日ありました。結果としては強弱織り交ぜた形となっており、非常に判断の難しい結果と言えるような気がします。そのため、FRBの慎重姿勢を崩すことにはならず、引き続き慎重な金融政策が維持されるのだろうという印象です。

PCEはまちまち

昨日発表された2月のPCEはコア指数が鈍化したものの、消費は以前堅調なことを示しており、強弱織り交ぜのような形となっています。

2月の米個人消費支出(PCE)統計によると、連邦準備制度理事会(FRB)が基調的なインフレを判断する上で重視するPCEコア価格指数は、伸びが1月から鈍化した。一方で、実質ベースの個人消費支出はプラスに回復した。

  PCEコア価格指数の前月比での伸び率は1月が0.5%、2月は0.3%で、2カ月での伸びとしてはここ1年で最大となる。

  ただ今回の統計では一部サービス分野のインフレに関する指標が小幅な伸びにとどまったことから、FRBとしては安心感を抱く可能性がある。インフレ調整後の実質PCEは前月比0.4%増と、市場予想を上回った。前月は0.2%減(速報値0.1%減)に下方修正された。賃金・給与は前月比0.8%増と、ここ1年余りで最大の伸びだった。

  今年に入り複数のデータで物価上昇圧力が示されていたことから、今回の統計でインフレ鈍化が示されたのは明るい兆候だ。ただFRB当局者らはインフレが持続的に低下傾向にあることを示すさらなる証拠を求めており、利下げを急いでいない姿勢。

  当局者らは住宅とエネルギーを除いたサービス分野のインフレを注視している。このベースでの価格指数は前月比0.2%上昇と、1月(0.7%上昇)から鈍化。また医療費や金融サービスの価格の伸びも前月から大きく減速した。

  高い借り入れコストや求人の減少、根強いインフレといった状況は見られるものの、労働市場はなお堅調で、それが家計の需要を支えている。サービス分野の支出は2021年7月以来の大きな伸びとなった。国外への旅行や運輸、金融サービスで増加が目立った。1月に急減していた財への支出は、自動車販売の伸びに助けられて小幅に増加した。

  ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は「前月のデータが示唆したような消費疲れはまったく見られない」とし、「消費者が今後もこうしたペースで支出を続ければ、企業が現在の価格を維持するのは非常に難しくなるだろう」と述べた。

  ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、エステル・オウ両エコノミストは「向こう数カ月に労働市場は冷え込み、個人所得の伸びは一段と減速する見通しで、それにより支出の伸びは総じて鈍化すると考えられる」とリポートで分析。「経済状況が軟化する中で、このままいけば米利下げ開始は6月になると、われわれは引き続き見込んでいる」と述べた。

  貯蓄率は2022年末以来の水準に低下。支出のための貯蓄取り崩しを示唆している可能性がある。

引用:bloombergより

このように2月のPCEは非常に判断の難しいものとなりました。指数としては鈍化傾向にあることは確認できましたが、消費は依然として堅調であり、まだまだ物価圧力が落ちてきたとは言えないでしょう。そういう意味では非常に判断の難しい結果といえるため、これをどう捉えるかは個人によって大きく異なるのかなという感じです。

金融政策は現状維持がつづくだろう

今回の結果は非常に難しいものでした。内容が非常に統一感がなく、強いのか弱いのか判断がしづらいものといっていいでしょう。ただ、それだけに現在の非常に慎重姿勢のFRBを利下げへと傾けるものとは到底なりえないというのが正直なところです。むしろ、この不安定な状況であれば現状維持を続けようと思うのはまず間違いないのかなという感じです。そういう意味では今回の結果は現在のFRBの金融政策をより正当化することになりそうな感じです。よってしばらくは現状維持が続くものと見られ、利下げの判断は更に後方へとずれ込むのかもしれません。

まとめ

今日は2月のPCEについて見てきました。消費は非常に強さを維持してはいますが、弱さも見られるようになっており、状況は変化してきていることは事実でしょう。しかし、非常に方向性の判断に迷う状況であることは間違いなく、急いで決断する必要もなければそうすべきではないということになるような状況と言えそうです。そういう意味でもしばらくは現状維持が続きそうかなという感じです。