パウエル議長は慎重姿勢を貫く。利下げ開始はまだまだ遠い。

週末に行われたイベントにてパウエル議長がどのような発言をするのかが注目されていました。結果としてはこれまでどおりの慎重姿勢を貫き通した形となり、特別大きなサプライズはなかったのかなという感じです。そしてそれは利下げはやはりそんなに簡単には実行されないのだろうという確証が得られたのだろうと思います。

パウエル議長は慎重姿勢を変えず

先日、FRBのパウエル議長はサンフランシスコで行われたイベントに低下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、当局は利下げを急いでいないと改めて表明した。インフレ抑制を示す証拠が増えるのを待ちたい考えだ。

  議長は29日、サンフランシスコ連銀で開催されたイベントで登壇。司会者の質問に対し「米経済が非常に堅調なペースで成長し、労働市場も極めて強いという事実は、われわれが利下げという重要な一歩を踏み出す前にインフレ率の低下についてもう少し確信を強める機会を与えてくれる」と回答した。

  「利下げを急ぐ必要はない」と議長は語った。

  この日の朝方に発表されたインフレデータについては、「ほぼわれわれの予想通り」だと指摘した上で、インフレ率が目標の2%に向けて順調に低下していると当局が確信するまで利下げは適切ではないとの見解を改めて示した。

  シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「全体的なメッセージはあまり変わっていない」とし、「2月のインフレデータは当局の予想通りだったようだ。当局が問題ないと考えるデータに沿ったものだ」と指摘。「もう少しだけ確信を強め、あと2カ月程度のデータを待ちたいというモードに入っている。年央の利下げにやぶさかでないことは変わっていない」と述べた。

  パウエル氏は、この日のインフレデータについて「予想に沿ったデータを目にできるというのは良いことだ」と発言。ただ、この最新のデータも昨年ほど良好な内容ではないと付け加えた。

  今後のインフレ率については、「時として起伏の多い道」を進みながら低下し続けると当局はみているとパウエル氏は指摘。今月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に行われた記者会見での発言を繰り返した。

  このほかパウエル氏は、現時点ではリセッション(景気後退)の可能性が高まっているとはみていないと発言。ただ労働市場が想定外に弱まった場合、当局による政策対応が正当化され得ると改めて述べた。

引用:bloombergより

パウエル議長はこのように述べ、今後の金融政策については改めて慎重姿勢で勧めていくことを明言しています。これまでもパウエル議長はきちんとした確証を得るまでは利下げは行わないとしてきましたが、その姿勢を改めて示した形です。市場ではすでに早期での利下げ期待というのは大きく後退しています。今の所6月が最も多くの予想がされている時期だとは思いますが、このような発言を聞く限り、その可能性というのはそう高くはないのでしょう。実際、インフレは未だ健在です。弱さを見せてはいますが未だ底堅さも見せており、そう簡単には軟化しない可能性が非常に高いと言っていいでしょう。そのような中ではおそらくは利下げへと踏み切ることはないように思います。そういう意味ではやはり市場が期待するような状態にはなかなかならないのかなという感じです。

利下げの時期は更に後退するか

今回の講演では従来の姿勢を改めて確認した形です。FRBはそう簡単には利下げの判断をくださないでしょう。利下げの判断にはそれを示すような経済指標の発表が相次ぎ、どの角度から見てもインフレが鈍化し、再加速の危険性が相当程度少なくなって初めて実行するのかなという感じです。そのくらい今のFRBは利下げには慎重だと言っていいでしょう。実際、米国経済は非常に好調であり、金融政策による後押しを必要としているようには見えません。そういう意味では何も忖度することなくインフレ退治に全力を傾けることでしょう。そうであれば手加減をする必要はありませんし、極限まで引き締め続け、絶対に復活しないというところまで締めてから緩めるという判断にしたいというのもわからないでもないという感じです。今のFRBはここまで極端ではないかもしれませんが、これに近い感覚なのだろうと思います。

まとめ

今日は先日行われた講演でのパウエル議長の発言について見てきました。FRBは相変わらずの慎重姿勢であり、そう簡単には利下げには踏み切らないでしょう。おそらくはいま市場が期待しているよりも更に後退するのものと思われます。最悪、今年中には利下げが行われないなんてこともあるかもしれません。それだけ今のFRBは慎重姿勢ですし、経済もそこまで悪くはありません。そのことは頭に入れておいたほうがいいでしょう。