3月の消費者物価指数も市場予想を大きく上回るものとなり、利下げ期待はさらに後退。

6月利下げの期待というのは完全に消えたと言っていいようです。昨日発表された3月の消費者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となり、インフレが依然として力強く維持されていることが確認されました。最近では強い雇用統計の結果などインフレ健在を表す経済指標の発表が相次いでいましたが、今回の発表もそれらに沿った形となっています。これだけ強い経済指標が相次ぐようであれば流石に利下げ期待というのももうほぼ消え去ったと言っていいのかもしれません。

消費者物価はまだまだ強い

昨日発表された3月の消費者物価指数は市場予想を大きく上回るものとなりました。

3月の米消費者物価指数(CPI)統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が3カ月連続で市場予想を上回る伸びとなった。インフレ圧力が再度強まっていることを示唆しており、今年見込まれている米利下げ開始が後ずれする可能性がある。

  エコノミストは、基調的なインフレの指標として、総合CPIよりコア指数を重視している。

  コアCPIの前年比上昇率は2月と変わらず。総合CPIの前年比上昇率はエネルギー価格の値上がりが押し上げ要因となり、前月から加速した。

  今回のデータは、米金融当局が20年ぶりの高水準に政策金利を維持しているにもかかわらず、インフレ抑制の進展が停滞している可能性を改めて浮き彫りにした。堅調な労働市場が依然として家計需要を支えており、米金融当局は利下げに踏み切る前に、物価上昇圧力が持続的に後退している兆候をさらに確認したいとの姿勢を崩していない。

  過去3カ月のコアCPIは年率4.5%上昇と、昨年5月以来の大幅な伸び。

  データ発表後、米国債利回りとドルは急上昇する一方、米国株は大きく下落して始まった。スワップ市場では、年内の米利下げ観測が後退した。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デービッド・ケリー氏は「6月利下げの扉が激しく閉まる音が聞こえた。これでその可能性は完全に消えた」とブルームバーグテレビジョンで述べた。

  発表元の労働省労働統計局(BLS)によると、総合CPIでは前月比での上昇の半分以上をガソリンと住居費が占めた。自動車保険、医療費、衣類も上昇。一方、新車・中古車価格は下落した。

  サービス分野で最大の項目となる住居費は2カ月連続で0.4%上昇。持ち家所有者がその家を賃貸する場合の想定家賃である帰属家賃(OER)も0.4%上昇した。

  ブルームバーグの算出によると、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前年比4.8%上昇と、2023年4月以来の大幅な伸びとなった。政策当局者らは米国のインフレ軌道を見極める上で、こうした指標に目を向けることの重要性を強調しているが、実際には別の指標である個人消費支出(PCE)価格指数に基づいてそれを算出している。

  PCE価格指数は、CPIほど住居費のウエートが大きくない。PCE価格指数が米金融当局が目標とする2%に一段と近い水準で推移しているのは、そのためでもある。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の結果が発表される5月1日まで、生産者物価指数(PPI)とPCE価格指数がそれぞれもう1回発表される。米金融当局者は同会合での利下げ決定はないことを示唆し、実質的にその可能性を排除している。

  チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「米金融当局はCPIをターゲットにしていないとはいえ、利下げ開始を遅らせる、あるいは年内の利下げ想定回数を減らす理由がこれでまた一つ増えた」と指摘。「サービスセクターのインフレが根強ければ、金融緩和の余地は限られる」と述べた。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン氏とスチュワート・ポール氏は「米金融当局は今回のデータについて、ディスインフレの鈍化を示すシグナルが強まっていると受け止めるだろう。われわれは利下げ開始の予想を従来の6月から7月に遅らせる」と述べた。

  サービス分野とは異なり、財価格は過去1年の大半において持続的に下落しており、消費者に一定の安心感をもたらしてきた。ただ、今後のディスインフレ要因としては信頼性が下がるとエコノミストは予想している。食品とエネルギーを除くコア財価格は前月比0.2%低下した。

  エコノミストは住居費の上昇が幾分和らぐと長らく予想してきたが、今のところはまだそうなっていない。エネルギー価格は再び上昇に転じている。

  米金融当局者も労働市場の力強さを受けて利下げをためらっている。先週発表された3月の雇用統計で、予想を大幅に上回る就業者の伸びと失業率の低下が示された後ではなおさらだろう。10日に発表された別の統計によると、実質平均時給は上昇率が鈍化し、昨年5月以来の小幅な伸びとなった。

  再選を目指すバイデン大統領の支持率が本選に向けて勢いを失いつつある背景には、こうした事情もありそうだ。

引用:bloombergより

引用:bloombergより

利下げはいつになるのか

今回の結果を持って6月の利下げ期待というのはとどめを刺されたと言っていいでしょう。流石にここまでインフレ指標が相次いで強いものを示しているとなると利下げを行う理由はまずありえないと言っていいような気がします。むしろ今年中に本当に利下げができるのかという懸念も出てきますし、さらなる引き締めなんていうサプライズすらあり得るのではないかという気がしてきます。それだけ今の米国経済は力強く、そう簡単には軟化していかないのだろうという感じです。それだけにインフレとの戦いは厳しく、長期化することを改めて覚悟しなければならないでしょう。そのような最悪の事態もそろそろ想定した戦略を立てておくべきなのかもしれません。

まとめ

今日は3月の消費者物価について見てきました。インフレは未だ健在です。おそらく6月の利下げは行われないでしょう。それどころか年内に利下げが行われない可能性すら出てきたのではないかと思います。もちろん今の段階でそのような発表をするところはないでしょうが、その可能性も考えておいたほうがいい段階にはなったと思います。インフレとの戦いはまだまだ続きます。