8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は予想外の悪化

今日も米国経済の悪化を示す経済指標が出てきました。8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は、市場予想を大きく上回る悪化となり、米国経済がかなり落ち込んできていることを示しました。9月のFOMC前に弱い経済指標が次々と明らかとなっており、今後がどうなるか注目されるところです。そういうわけで今日は先日発表された8月のニューヨーク連銀製造業景況指数についてみていきます。

大幅に悪化した指標

先日発表された先日発表された8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は市場予想を大きく上回る悪化となり、米国経済がより深刻な状態になっている可能性を示しました。

8月のニューヨーク連銀製造業景況指数は、データでさかのぼれる2001年以降で2番目に大幅な低下となった。特に受注と出荷の指数の下げが目立ち、需要の急激な落ち込みが示唆された。

  景況の悪化を報告した製造業者の割合は43.6%と、前月のほぼ2倍に増加。新規受注と出荷に関しても同様の割合で悪化の回答が増えた。

  今後数週間にわたり複数の地区連銀の製造業景況指数が発表される。NY連銀の製造業景況指数は変動が大きくなる傾向はあるものの、今回の低下度合いからは製造業が従来の想定以上に厳しい低迷期を迎える可能性も示唆される。

  ピクテ・ウェルス・マネジメントの米国担当シニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は今回の統計について、「各業界が新型コロナウイルス禍だった時の状況から注文量を推計し、結局注文し過ぎた」ことを示している可能性が高いと指摘。「この破壊的ともいえるような急激な悪化トレンドは、業者が注文について真剣に精査し直し、多くのケースでは単にキャンセルしている状況ではないかと考えられる」と分析した。

  新規受注の指数はマイナス29.6と、前月(プラス6.2)から大きく低下。出荷もマイナス24.2と、前月(プラス25.3)から急激に下げた。両指数と全体の景況指数は、2020年5月以来の低水準となった。

  6カ月先の景況見通しはプラス2.1と、前月のマイナス6.2から改善したものの、わずかなプラスにとどまった。

引用:Bloombergより

このように今回のニューヨーク連銀製造業景況指数は過去と比較しても大幅な落ち込みとなり、需要の大幅な落ち込みを確認させるものとなりました。高いインフレ下においても旺盛な需要が経済を引っ張る形となってきましたが、それが急激に落ち込んできたということで、今後の先行きについて非常に懸念されるところです。

株式市場は冷静

しかし、この日の株式市場は比較的堅調に推移しました。

15日の米株式相場は続伸。大幅に悪化したニューヨーク連銀製造業景況指数や中国経済の回復鈍化を消化し、出遅れていた大型株に買いが入った。米国債とドルは上昇。原油から鉄鉱石に至るまで商品相場は大きく下げた。

引用:Bloombergより

予想外の経済指標の発表ということもあり、株式も下落するかと思われましたがそこまででもなかったようです。最近は弱い経済指標が相次いでいたことからある程度予想はできていたということなのでしょう。それ以上に悪かったということなので、多少は反応してもいいような気はしますがそれはありませんでした。むしろ、悪い経済指標を受けて今後の金融政策が変更されることを期待したのかもしれません。今のところは9月は75bpでの利上げの可能性が高いと思いますが、こう弱い経済指標が続けばそれが緩む可能性もゼロではないでしょう。そのような思惑もあったのだろうと思います。

それでも9月は75bpでの利上げだろう

ただ、何度も言いますが個人的には9月はやはり75bpでの利上げの確率が高いと思います。ある程度の経済の減速は予想できましたし、FRBもこの程度なら予想の範囲というところでしょう。であれば今はインフレ退治に全力を注ぐことになるでしょう。そのような発言はパウエル議長をはじめ様々な関係者から出てきています。そういう意味でもあまり楽観はしない方がいいと思われます。

まとめ

今日は先日発表された8月のニューヨーク連銀製造業景況指数についてみてきました。予想外に悪いものとなりましたが、株式市場としてはそれほど悪材料とはならなかったようです。むしろ今後の金融政策に対する期待が出てきているのかなという感じです。いずれにせよ9月のFOMCがどのようになるのかはまだわかりません。あまり決め打ちはしない方がいいと思います。個人的にはこの程度であれば金融政策に変更はないような気はしますが、実際のところどのようになるのかはパウエル議長もわからないでしょう。そういう意味でも今後の経済状態がどのようになるのかしっかりと見極める必要がありそうです。