力強い雇用統計の結果を受け、今後はよりタカ派となる可能性が高いFRB

先週末に投資関係者が最も注目する指標の一つ、米国雇用統計が発表されました。結果としては市場予想よりも強く、雇用環境は改めて良好であると認識させるのに十分なものです。私がいつも参考にしているジェレミー・シーゲル教授もそのように考えており、その結果FRBはより金融引き締めに対してタカ派のスタンスをとるだろうと予想しています。そういうわけで今日はシーゲル教授の意見を参考に先週の米国雇用統計について振り返ってみたいと思います。

米国雇用統計は最も重要な指標の一つ

米国雇用統計はFRBが最も重視する指標の一つであり、その結果次第でFRBの政策が大きく変わることもある重要なものです。理由としてはFRBの一番の仕事が雇用の安定化にあるためだと思われます。そのため毎月第一金曜日に発表される雇用統計には多くの市場関係者が注目しています。

今月の雇用統計の結果

その雇用統計の結果ですが、今月は以下のようになりました。

  • 非農業部門雇用者数増: 467千人(予想は125-150千人)、11・12月を大幅上方修正
  • 失業率: 4.0%(予想は3.9%)
  • 平均時給: 前月比0.7%増、前年同月比5.7%増
  • 労働参加率: 62.2%(前月は61.9%。ただし特殊要因あり)

非農業部門雇用者数が予想よりも大幅に増加しており、雇用環境が非常に力強いことが示されました。新型コロナウィルスパンデミックの影響により経済が大混乱に陥ったため、雇用環境も非常に大きく変化しました。しかし、パンデミック収束が見え始め、経済正常化の動きが出てくるにつれ労働環境も改善が予想されていました。そして今回の発表はその予想を十分裏付けるものになっています。

今後はFRBがよりタカ派となる可能性が高い

今回の雇用統計の発表を受け、FRBはよりタカ派の姿勢を強くすると思われます。インフレもそうですが、雇用環境の安定化こそがFRBの第一の目標であることは変わりありません。なので雇用環境が悪化しているのであれば今の金融引き締めを緩める可能性もあったかもしれません。しかし、これだけ雇用環境が力強いことが示されたのですから、少々のことでは心配ないだろうと思うことも十分予想できます。であれば現在非常に重要な問題となっているインフレを抑制することに全力を注ぐことになるでしょう。

世界的に金利上昇傾向が出始めている

さらに日本やドイツなども米国ほどではないですが、最近は金利が上昇傾向を示し始めています。また、ECBのラガルド総裁は年内の利上げの可能性を示唆しています。このように、世界経済は着実にインフレ抑制の方向へと向かっているのです。そのために株式市場は金融当局のより強いインフレ抑制政策を警戒しなければなりません。最近はメタやネットフリックスが決算発表後に大幅下落をしました。アマゾンやアップルなどは好決算を発表したために一時的にグロース株も上昇したりもしていますが、今後も非常に不安定な状況は続くことになるでしょう。

まとめ

今日はシーゲル教授の意見を参考に先週発表された雇用統計についてみてきました。米国労働市場は非常に強いです。これだけ良好な環境であればFRBもかなりタカ派の姿勢になっていく可能性は否定できないと思います。そういう意味でも市場の不安定化を十分に警戒する必要はありそうです。しかし、長期投資家にとっては株価下落は安く優良銘柄を買うチャンスでもあるので、あまり慌てる必要はありません。今後はFRBの金融政策次第で株式市場は大きく動きそうですが、特別気にする必要もないでしょう。いつも通り淡々と投資を続けるのみです。