米国市場は高インフレかつ金利上昇が予想されるがまだまだ逃げる必要はない

株式投資の世界では本当に理解できないことがよく起こります。株価が下がるニュースのはずなのに上昇したり、下落すると思えば急上昇したりと投資家を嘲笑うかのごとく市場は動くものです。なのであまり短期的なニュースを投資判断の材料とはしないようにしています。そして現在のFRBの金融政策についても非常に不可解な部分があります。その点について私がいつも参考としているシーゲル教授が的確に指摘していたので、今日はそれについて考えてみたいと思います。

The Financial Pointer

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、とてもわかりやすくFRB金融政策の不整合を解説し、投資に関する考えを明かし…

米国のインフレ率はもはや許容できるレベルではない

現在の米国は非常に高い消費者物価の伸びに悩まされています。すでに物価上昇は7%を超えており、これはもはや許容できるものではありません。インフレ率については比較的楽観的に見る専門家も多くいますが、さすがに7%のインフレ率を問題ないという人はいないでしょう。そのくらい深刻な事態が米国では起きているのです。なので現在のFRBはインフレ抑制を第一の目標においているような気がします。少々の株価下落や経済停滞はしょうがないと思っているような感じがしますし、今年はさらにタカ派的な政策が続くのではないかと思います。

2%程度の金利で7%のインフレを抑えられるはずがない

そんなFRBの政策をシーゲル教授はかねてより批判してきました。今のような金利水準ではインフレは抑えられないといい、もっと早く利上げをするべきと述べ続けています。

現在インフレは7%で、来週またインフレ率が公表されるが、私はさらに7%超に跳び上がると予想している。FRBは2.5%のFF金利が2%のインフレと整合すると言っているのに、どうやって1%のFF金利で7%のインフレを止めることができるんだ。

引用:The Financial Pointer 売ってない。あと5-10%下げたら買う:ジェレミー・シーゲル より

シーゲル教授はこのように述べており、FRBを批判しています。一般的には2%程度のインフレが経済的には一番良いといわれています。そしてその状態を維持するには2.5%の金利であるのが適切だとFRBは言っているのです。にもかかわらず、7%を超える水準にまで達したインフレ率を高々2%程度の金利で止められるはずがないというのです。これは至極まっとうな意見であり、非常にわかりやすいです。2.5%の金利を目指せば2%程度の物価上昇になるといっているのですから、7%を超えるインフレ率を抑えようと思えば普通はそれ以上の金利にする必要があるのではないかと思うでしょう。もちろんそんな単純な話ではないでしょうし、そんなことをすればおそらくはとんでもない大不況に陥るでしょうから、そんなことはしないと思います。しかし、少なくともインフレ率よりも5%も低い金利程度では焼け石に水といった感じではないかと思うのは当然な感覚です。であればインフレを抑制することはできずに、高インフレの状態が持続してしまう危険性を想定する必要が出てくるというのでしょう。

だからこその株式から逃げるべきではない

だとすればこの先、FRBはさらに金融引き締めに動く可能性が高いです。そしてそのことを市場が織り込んでいるとは思えません。なのにシーゲル教授はまだ逃げるべきではないといっています。

私が言っているのは単純なことだ。FRBが2%インフレの世界で正常なFF金利を2.5%としているのに、7%インフレの世界でどうして1.0-1.5%への利上げを恐れるのかということだ。

引用:The Financial Pointer 売ってない。あと5-10%下げたら買う:ジェレミー・シーゲル より

言わんとすることはよくわかります。7%のインフレの現在、高々2%の金利ではインフレを抑えることはできない。なのでまだ株価は上がるし、逃げる必要はないというのでしょう。たしかに、インフレの経済というのは実質的には購買力は低下しますが、名目上の資産や株価は上昇しやすいです。だからまだ買いだというのかもしれませんが、そこまで自信を持って言える人というのはなかなかいないのではないでしょうか。これだけ高いインフレ率とタカ派の中央銀行を見て株を買おうと思える人はすごいと思います。しかし、歴史的事実としてインフレ下では名目上、株価は上昇しやすいので間違いではないのではないかと思います。

この状況ではっきりと株を買うといえるのはすごい

シーゲル教授の指摘は非常に的確でかつ分かりやすいものです。今までのFRBの姿勢から見れば7%のインフレを2%の金利で抑えられるわけがありません。であればまだまだインフレが解消されることはなく、株価は上昇傾向が続くというのはうなづけるものです。ただ、今までのように投資対象はどれでもよいような状況ではなくなるでしょう。銘柄選択が非常に重要になるのは明白で、シーゲル教授もグロース株よりもバリュー株を推奨しています。しかし、ここまではっきりといえるのはさすがだなと思いました。私ならここまではっきりといえないような気がします。

まとめ

今日はシーゲル教授の意見を参考に今後の米国株式市場について考えてみました。シーゲル教授のいう通り、7%ものインフレを現在の金利水準で抑制させることはまず無理でしょう。であればインフレはしばらく継続することとなり、時間とともにFRBの姿勢もどんどんタカ派によって行くと思われます。そのため株式市場が大きな上昇をしていく展開はなかなか想像しづらいです。しかし、インフレであるという事実は名目上の価格は上昇することになるので株や不動産など上昇が見込まれる資産への投資というのは十分有望なのだろうと思います。少なくとも2%程度の金利では市場から資金を引き揚げるような事態にはならないのではないかと思います。しかし、FRBが急激に金融政策を締め出す可能性も否定できませんし、国際政治の舞台を見ても先の見通しは非常に不透明です。なので何があっても大丈夫なように準備をしておく必要はあるでしょう。