インフレ下での最適なポートフォリオはどのようにするべきなのか

投資をするうえで適切なポートフォリオを構築するということは非常に大切です。そしてその代表的な指標として60/40というポートフォリオがあります。これは株式と債券を60対40の割合で保有するのが一番資産を守るうえでよいとされているものです。今もなお有効な手段として利用されているものですが、ここ最近のインフレによりその有効性に疑問符がついてきている可能性が指摘されています。今日はそのことについて考えてみたいと思います。

60/40のポートフォリオ

その指摘はニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授によってされました。教授は株式と債券の間にある負の相関関係は低インフレを前提としているため、現在のような高インフレが続く状態では60/40のポートフォリオは機能しないと訴えています。株式と債券は通常であれば相反する動きをすることが多いです。株価が上昇すれば債券価格は下落し、また株価が下落すれば債券価格は上昇するという具合です。このようにお互いに補完しあうような動きをすることにより、どのような状況下においてもある程度資産を守りつつ、資産運用を行うことができたのです。

高インフレでは60/40は機能しない

しかし、高インフレの状態が長く続くと話は変わってきます。インフレが名目金利を押し上げれば債券価格は下落します。債券の価格と金利は相反する動きをするのでこれはいいでしょう。通常であれば債券価格が下落するときには株価が上昇しやすいですが、あまりに高いインフレが続くと株価にとっても下落要因となってしまうのです。現在の米国市場の状況を見ればそれはよくわかることではないかと思います。そのような状態に陥ると、もはや60/40のポートフォリオでは資産が守れなくなってしまいます。株も債券も下落しているのですから当然です。

インフレヘッジの必要性

そのためルービニ教授は債券の部分については別の資産への投資を推奨している。

  • 物価連動債や短期債
  • 金など貴金属
  • 土地・不動産・インフラなど供給に限界のある実物資産

インフレにより物価が上昇することが予想されるので物価連動債への投資というのは納得しやすいでしょう。金や貴金属についても「有事の金」などといわれるくらい、金というのは不測の事態が起きるときに資金が集まりやすいものです。また、不動産など有限な資産というものも有効なようです。

個人投資家はとりあえず今まで通りで問題ないと思う

今回の指摘というのは個人的にはあまり気にしていないというのが正直なところです。確かにインフレが続く状況を見れば、特に債券に投資をするという意味は本当にないに等しいと思います。だからといって今後もこの傾向が続いていくとは限りません。いつかはまた債権が有望な投資商品として見直されるときも来るでしょう。歴史を見れば大きな経済的危機はいくらでも存在しました。その歴史を超えて今があるのです。ですから現在の高インフレが永遠に続くというのでない限り、あまり投資スタンスを変える必要はないのではないかと思います。特に時間という武器を有効に使える個人投資家にとっては気にする必要はないでしょう。いずれインフレも収まり、経済も成長していくことになるでしょう。そうなればこの停滞期に投資をしていた資産が十分利益を出してくれるはずです。

まとめ

今日は伝統的なポートフォリオについての危険性についてみてきました。60/40のポートフォリオについてはシーゲル教授も疑問視していて、確か株式の割合をもう少し増やした方がいいといっていたような気がします。そのくらい現在の高インフレというのは異常な状態なのでしょう。そして債権の価値が限りなく低くなっているということです。ただ、基本的には経済成長を前提としている資本主義の世界において、長期的に見れば株価は上昇するでしょうから、これからもブレずに淡々と投資を続けていくことが個人投資家にとって最適解だと思います。