グロース株よりバリュー株を選考する投資家が74%にもなる。

ここしばらくはバリュー株投資というのは完全に投資手法として劣ったものというレッテルを張られていたように感じます。特にテクノロジー関連株などのグロース株が金融緩和効果もありかなりの成績を残してきました。しかし、景気後退が強く意識されるようになり、金利も上昇を始めたことにより状況は大きく変わる可能性が高くなったと思います。ようやくバリュー株にも正当な評価がされるようになるのではないかと期待しています。実際多くの投資家や金融機関の関係者はそのように思っているようです。そういうわけで今日は今後のバリュー株について考えていきます。

バリュー株がようやく日の目を見るときが来た

バリュー株投資はウォーレン・バフェット氏も行っている投資手法であり、まさに王道といった感じの投資方法だと思います。割安なものを買い高くなったら売るという、聞いただけでは当たり前のような気がしますが、最近はその当たり前のことが通用しなくなっていました。しかし、経済状況の変化によりその環境も変わる可能性が出てきているのです。先日、Bloomgergにその可能性を十分に感じさせるような記事が出ていました。

 MLIV読者の間では、バリュー株が年内に成長株のパフォーマンスを上回るとの回答が74%に上った。S&P500種株価指数に基づくと、バリュー株は2007年以降おおむね成長株のパフォーマンスを下回っており、現代のテクノロジー中心の経済で重要性を失っているとの懸念が強まっていた。しかし、今回の調査の回答者によれば状況はもはやそうではなく、世界の市場では債券売りや商品のスーパーサイクルを背景に、エネルギーや銀行など景気循環銘柄が回復している。

引用:Bloombergより

今回の調査では個人投資家やストラテジスト、ポートフォリオマネージャーなど1000人以上から回答をもらい、結果を公表しています。その結果74%、約3/4もの人が今後はバリュー株のパフォーマンスがよくなるだろうと回答しています。ここ数年は特にテクノロジー関連をはじめとした株のパフォーマンスの前になすすべなく負け続けたバリュー株ですが、ようやくその価値を投資家に再認識されるようになったのかもしれません。特にこれからは金利はかなり上昇していくものと思われます。インフレも高止まりする可能性もあり、スタグフレーションの可能性も否定できません。そして想像以上の景気後退が起きるということも否定できないでしょう。ロシアによるウクライナ侵攻や中国の動きなど国際情勢は非常に不透明な状況が続いていくものと思われます。そのような中、景気に敏感な銘柄というのはなかなか投資しづらくなるのかもしれません。

新興国は弱気

今回の調査の中では新興国への投資についても書いてありました。新興国についてもバリュー株と同じように最近はあまり調子が良くなかったものの一つです。

回答者は過去に負け組だったバリュー株を選好している一方で、同じような状況にあった新興国株に対しては引き続き弱気だ。新興国の政治的リスクや成長見通し、米国の金融引き締めを理由に、回答者の3分の2近くが今年の先進国株のパフォーマンスが新興国株を上回ると予想している

引用:Bloombergより

この記事によると新興国については引き続き弱気なようです。新興国も最近では目覚ましい経済発展を遂げ、非常に力強い成長をしているところも多くあります。しかし、表面的にはそう見えたとしても、やはりその根幹は脆弱なものであることが多く、特に米国など先進国から資金の引き上げなどが起きるとたちまち資金繰りが滞ってしまうこともよくある話です。そういう意味ではこれから金融引き締めという市場から資金がどんどん引き上げられていく状況を考えると、新興国市場についても弱気な姿勢になるというのも仕方ないのかもしれません。それとやはり政治体制の不安定感も弱気になる要因の一つでしょう。ロシアによるウクライナ侵攻や中国の台頭などにより、これからは戦後続いてきたような一部の先進国が圧倒的な力で世界をリードするということはできなくなる可能性があります。そうなってくると世界は一層不安定感を強め、特に中小の国々では国家を揺るがすような事態が起きかねません。正直これからは日本や欧米の国々ですら厳しいのではないかと個人的には思っています。なので新興国になるとなおのこと不安定な状況に陥る可能性は高くなるのではないかと思います。もちろんあくまで可能性の話なのでどうなるのかはわかりませんが、投資家としてはやはりリスクは小さくないと感じてしまうのではないでしょうか。

まとめ

今日は今後のバリュー株の可能性などについて考えてみました。金利上昇など金融引き締めの動きが強まり、景気後退が意識されるようになったため、バリュー株の可能性はかなり高くなったのではないかと思います。逆にテクノロジー関連株は一部を除けばしばらくは厳しい状況が続くのではないかと考えています。それだけ今の経済状況というのは先行きが厳しいのではないかと思いますし、そのように考えている投資家が多いことが分かりました。そういう意味では今後はやはりバリュー株などの安定した業績を期待できる株に投資をした方がいいでしょう。新興国についても可能性は十分にあるとは思いますが、やはりリスクは高いといわざるを得ないと思います。そのリスクを理解したうえで投資するのであれば問題ないと思いますが、一般的な個人投資家がそこまでする必要もないでしょう。個人的にはそこまでリスクは取れないなと感じています。