不当なほどの化石燃料批判はおかしいのではないか

環境問題が深刻なる中、投資の世界でも環境については強く意識されるようになってきました。ESGをはじめとする環境に対する取り組みをしないと投資家から評価されなくなってきているので、企業としても無視することはできなくなってきています。非常にいい動きだとは思いますが、正直個人的には違和感を感じることも多くあります。目的と手段を間違えていないかということです。環境に負荷をかけないようにしようということに反対する人はほとんどいないでしょう。しかし、今のESGなどの環境保護の動きには疑問を持っている人も少なくないように思います。私自身、この動きはおかしいと思うし、うまくいかないのではないかと思っています。トウシルに「ESGバブル到来?「EV」買われ、「LNG」売られる」という記事が掲載されました。とても共感できる記事で、今の世界や投資環境のゆがみをうまく表現していると思います。今日はこの記事をもとに、ESGなどの環境や投資について考えてみたいと思います。

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※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。著者の窪田真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴…

ESGとは

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。気候変動問題や人権問題などの世界的な社会課題が顕在化している中、企業が長期的成長を目指す上で重視すべきESGの観点での配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値毀損のリスクを抱えているとみなされます。そのため、ESGに配慮した取り組みを行うことは、長期的な成長を支える経営基盤の強化につながると考えられています。

引用:NRIより

ESGとは上記の通り、気候変動や人権などの現在大きな問題とされていることに対して重視すべき点を整理したものです。これらの物は社会で非常に注目されているため、企業としても無視することはできなくなっています。環境に負荷をかけるような経営をしていると市民からは厳しい視線を浴びせられます。そうなれば当然その企業の商品は売れなくなるため、投資家からも厳しい注文がつくことになります。社会やガバナンスについても同様です。人権を軽視したり、いい加減な経営をするようだと厳しい非難を受けるようになりました。そのため企業はESGに対して積極的な姿勢を示すようになってきています。

なぜか電気が善で化石燃料が悪となる

その中で今注目されているのがEVなどの電気自動車です。テスラをはじめとしたEV関連企業というのは非常に注目されていて、株価もPERで200倍を超えるなど投資家から熱い視線を受けています。対して化石燃料を扱っている企業というのはあまり株価が伸びません。化石燃料を取り扱っている日本の大手総合商社などは過去最高の利益を出しているにもかかわらず、PERが10倍程度となっており非常に評価が低くなっています。環境に配慮している企業が買われたりすることは間違っているとは思いませんが、さすがにPER200倍というのはいきすぎだと思います。逆に総合商社がPER10倍というのも不当に評価されているとしか思えません。確かに化石燃料が温室効果ガスを排出するということは間違いないでしょう。しかし、今は技術革新で化石燃料を使っても温室効果ガスの排出量を低く抑えるようになってきています。ハイブリット車などがいい例です。このように技術によって温室効果ガスを少なくするようにしても全く評価されません。とにかく電気を使うことが善となってしまっているのです。電気だって当然発電するためのエネルギーが必要です。それはいったい何から作られるのでしょうか。再生可能エネルギーだというかもしれませんが、不安定な電源でしかないのでそれだけですべてを賄うのは今は無理です。しかも、万が一のために結局は火力発電などをバックアップさせておく必要があったりと非常に非効率です。電気自動車についてもそれ自体は温室効果ガスを排出しないかもしれませんが、それを製造する過程でどれだけの温室効果ガスを排出しているのでしょうか。あれだけ最先端の技術を集めたものが単純な製品や仕組みでできているとは思えません。そこには多くの最先端の製品や技術が使われているでしょう。それらは本当に環境にやさしいものばかりなのでしょうか。そういうこともトータルで考えなければ全く意味のないものとなるともいます。

目的と手段を間違えてはならない

このように今のESGをはじめとする動きは明らかに目的と手段を間違えていると思います。目的は環境保護です。そのための手段の一つとして電気自動車なんだと思いますが、今は電気を使うということが目的となってしまっているのです。電気を使うこと自体を否定するつもりはありませんが、結果として環境に負荷をかけてしまっていては意味がありません。化石燃料を使おうが電気を使おうが環境に負荷をかけていないのであればどちらも正しいはずです。逆に環境に負荷をかけてしまっていてはいくら電気自動車であってもいけないはずです。このように今のESGの流れは明らかにおかしいと感じています。

まとめ

今回はESGをはじめとした環境保護に対する動きについて私なりの意見を述べてみました。個人的には今のESGをはじめとする動きには非常に違和感を覚えます。日本は本当に効率的な社会になってきていて、温室効果ガスの排出量はかなり抑えられています。なのに化石燃料をつかっているだけで、電気を使ってないというだけで批判されるというのは本当におかしいです。それは株式市場でも現れていて、テスラが異常な高値になったり、総合商社が異常に低く評価されていたりされているのが現状です。個人的には今の流れはそう遠くない将来に修正されると思っています。こんな不合理なことはうまくいくとは思えません。実際今年は天候不順のヨーロッパで風力発電がほとんど機能せず、天然ガスなどの火力発電が多く使われたそうです。できもしない理想を掲げたところでこうなるのです。今後も環境が急激に人間の理想通りとなることはないでしょう。であれば再生可能エネルギーが大きなエネルギー源となりえるはずがありません。よって天然ガスなどの化石燃料は再評価されると思いますし、それら効率的に扱うことができる技術を持っている企業は注目されていくと思っています。