ロシアによるウクライナ侵攻は当初予想していたよりもロシアにとってはあまりいいものではないのかもしれません。突如として始まった電撃侵攻ですが、いまだ終わる気配がなく、依然戦闘は続いています。もちろんウクライナにとっては厳しい状況には変わりありませんが、ロシアにとっても厳しい状況になってきているのは間違いないのではないかと思います。その一つが想定以上に欧米の経済制裁が厳しくなっていることです。当初、見送られていたSWIFTから排除も決定し、ロシアは資金面でも厳しい状況に追い込まれています。しかし、このSWIFTから排除ですがどの程度の効果があるのでしょうか。過去に行われた制裁では非常に効果を発揮したことは確かですが、今回もそれだけの効果があるのかは未知数です。そういうわけで今日はSWIFT排除の効果について考えてみたいと思います。
SWIFTとは
SWIFTとは「国際銀行間通信協会」のことで、世界中の【銀行間の金融取引の仲介と実行】の役割を担っている団体です。世界各国の銀行・金融機関を結ぶ安全性の高いネットワークで、世界中の高額な決済の約半分がSWIFTネットワークを利用していると言われています。
引用：Create転職より
SWIFTとは上記の通り、国際的な送金システムを担っているシステムのことです。このシステムを用いることにより資金を安全に送金することができるようになり、貿易がスムーズに行えるようになります。そのため国際貿易を行うときにはSWIFTを用いることが多く、それを利用しているか否かで大きな違いが出てくるのです。
SWIFTからの排除は一部のみである
今回のSWIFTからの排除が決定されたことにより、ロシアは非常に大きな経済的なダメージを受けることが予想されます。しかし、実際にどの程度の影響が出てくるのかは未知数なところがあるのです。一つにはSWIFTから排除は完全に排除されたわけではなく、一部にとどまっているのです。もちろんロシアに大手金融機関はそれに含まれていると思われますから、大きな影響があることは間違いないでしょう。しかし、抜け穴もないとは言い切れません。そのためどの程度の効果があるのかは時間がたってみないとわからないでしょう。
欧州連合（ＥＵ）理事会は１日、国際送金・決済システムのＳＷＩＦＴ（国際銀行間通信協会）からロシアの一部銀行を排除する制裁…
SWIFTを介さずとも送金できるネットワークを構築できるのか
そしてもう一つ注目されるのは、このSWIFTから排除は回避可能であるのかということです。国際取引を行う際にSWIFTは必ず用いらなければならないというわけではありません。事実、SWIFTを用いずに行われる取引というのもたくさんあります。ただ、それには非常に手間もかかり、安全性も劣るため、あまり使われないというだけです。しかし、ロシアがSWIFTを用いずとも貿易をできるような仕組みを作ってしまえば、SWIFTから排除するという制裁は今後あまり効果が得られないということになります。実際ロシアはそのようなシステムを作っており、まだほとんどが自国のみでの運用ですが、その可能性をみせています。また、中国などの国がロシアを支援する目的でそのようなシステムに参加するようになれば、その時こそSWIFTからの排除が意味をなさなくなる時になるのだろうと思います。このような動きはなかなか難しいと思いますが、実際にはできないことではないでしょう。ロシアがすでに作っていることもありますし、中国でもそれに近い動きを見せています。また、先進国を見てみても、かつてイランに対する厳しい制裁を米国が欠けようとしたときに欧州は反発し、イランと欧州での独自の決済システムを構築するといったこともあります。そういう意味でSWIFTからの排除というのは決定的な経済制裁にはならないのかもしれないのです。
まとめ
今日はロシアのSWIFTからの排除についてみてきました。今回の制裁の影響というのがどの程度なのかは時間がたってみないとわからないのではないかと思います。もちろん影響が軽微ということはないと思いますが、もしかしたら想定よりも影響が小さいということもあり得るのです。SWIFTからの完全に排除してしまえば問題が解決するというのであれば制裁を強めればいいだけなので問題ありませんが、SWIFTに頼らずとも国際送金ができるシステムが登場してしまったときは本当に大問題となるでしょう。そうなるとロシアを金銭面で締め上げるということができなくなるということはもちろんですが、今後はこのような国際的な問題に対して経済制裁がしづらくなるという意味も出てきます。今まではイランや北朝鮮など、国際的な問題を起こした国に対してSWIFTを使った経済制裁を行ってきました。そしてそれが一定程度効果があったからこそ外交交渉で有利な立場をとることができたのです。その武器を失うことになるとこれから世界はこのような問題に対して対処するのが難しくなる危険性があるのです。