世界的な食糧状況の悪化は投資のチャンスでもある

日本もそうですが、世界的に食料価格が上昇しています。その原因というのはいろいろあるようで、複雑な事情がありそうです。そういうわけで食料価格というのはこれからはしばらく上昇を続ける可能性も十分にあるのでしょう。そういう意味では家計にとっては非常に苦しい状況が続くことが予想されます。しかし、投資家としてはそのような状況というのはチャンスになるかもしれません。そういうわけで今日は現在の世界の食糧事情についてみていきたいと思います。

様々な要因で物価上昇は起きている

現在、世界的なインフレの進行やロシアによるウクライナ侵攻などの影響により食料価格は高騰を続けています。しかし、原因はそれだけではなく、様々な要因によってこの状況は引き起こされているようです。

グローバルな食料価格が上昇を始めたのは2020年半ば、各国企業が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのために活動を停止し、サプライチェーンが圧迫されたことによるものだ。

農産物をスーパーマーケットまで運ぶトラック輸送が利用できなくなったため、農家は牛乳を廃棄し、果実や野菜は腐るままとなり、消費者が食料の備蓄に走ったことで価格は高騰した。ロックダウンによる移動制限で移民労働者が不足したことも、世界的な収穫低下につながった。

引用:ロイターより

食料価格の上昇には単純に需給の問題だけではなく、輸送の問題もあるようです。パンデミックの影響により、輸送業務が滞るようになり、商品があるのにもかかわらず消費者に届けられないという状態が起きています。また、農地においても移民などの労働者の急激な減少により収穫ができず、こちらも価格高騰の要因となっています。

気候変動も重要な影響を与える

その後も、世界各地で主要農産物に問題が発生した。大豆輸出量で世界首位のブラジルは、2021年に深刻な干ばつに襲われた。中国における今年の小麦収穫量は、これまででも最悪の部類に入る。パンデミックの中で食料安全保障への関心が高まったことで、将来的な欠乏に備えて主要穀物の備蓄を積み上げた国もあり、グローバル市場への供給が絞られた。

引用:ロイターより

度重なる干ばつや気候変動も食料確保に影響を与えているようです。世界的な食糧生産地で干ばつなど気候変動が起きると当然収穫に影響が出てきます。そうなれば価格が高騰するというのは当然でしょう。しかも今は世界的に気候変動が問題になるほどの天候が不安定な状態です。日本や一部地域では問題なくとも世界を見渡せば食料生産に大きな影響を与えるような気候異常が起きることは普通に考えられます。というよりも全くそのような地域がない方が異常といった方がいいかもしれません。そういう意味でも食料の安定的な生産というのがこれまで以上に難しくなっているような気がします。

さらに追い打ちをかけるロシアによるウクライナ侵攻

2月末に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、食料価格の展望を急激に悪化させた。

国連食糧農業機関(FAO)によれば、食料価格は2月に過去最高を記録し、3月にはさらに記録を更新した。ロシアとウクライナを合わせた小麦と大麦の生産量は世界の3分の1近くに達し、調理用のひまわり油の輸出量では世界の3分の2を占めている。ウクライナはトウモロコシ輸出量で世界第4位だ。今回の紛争によりウクライナの港湾や農業インフラが打撃を受け、今後数年にわたり、同国の農業生産が制約される可能性は高い。

一部のバイヤーは、西側諸国による制裁を理由に、ロシア産の穀物の購入を控えている。

インドネシアは4月末、調理用油の国内供給を確保するため、パーム油の輸出をほぼ全面的に禁止した。ケーキからマーガリンに至る食品全般で使われている食用油に関して世界最大の生産国からの供給が途絶えたことになる。

引用:ロイターより

さらにロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけます。ロシアとウクライナというのは世界的な農産物の生産地です。小麦などはもちろん、肥料なども多く生産していることからこの2国の農産物だけではなく、世界的な農作物の生産に影響が出ることが懸念されています。そういう意味では一日でも早く自体終息に動いてほしいところですが、今のところ全くその気配はありません。おそらくは高確率でこの戦争は長期化するものと思われます。そういう意味では世界の食糧事情というのはしばらく非常に不安定になるといわざるを得ません。

ピンチはチャンスである

これらの状況を考えると、しばらくは食料価格は上昇していくでしょう。とてもではないですが価格が下落したり安定した供給が続いていくようには思えません。そういう意味では家計は大変つらい状態が続くでしょう。しかし、投資家としてはある意味チャンスといえるかもしれません。商品価格上昇を見込んで、食料生産をしている企業への投資や、食糧事情改善に取り組んでいる企業を探して投資するなどいろいろ可能性はありそうな気がします。そういう意味ではあまり悲観的なことばかり考えるのではなく、積極的に投資していく姿勢で臨むべきでしょう。そうすることが自分のためにも社会のためにもなるはずです。

まとめ

今日は現在の世界の食糧事情について考えてみました。大変苦しい状況はしばらく続いていくことはもう仕方のないことのような気がします。一刻も早くこの事態の収束を願うばかりですが、こればかりは一人の力ではどうしようもありません。しかし、このような時でも投資のチャンスというのは必ずあるはずです。特に食糧生産に対する有望な技術開発をしている企業というのはこれから伸びて切る可能性は高いといえるでしょう。そのような会社を探して投資するのも面白いかもしれません。そういう意味でも前を向いて進んでいくべきだと思っています。