企業間物価の上昇が非常に大きくなってきた。

日々商品価格の上昇を実感していますが、それを改めて売らずけるような数字が出てきました。日本の企業間物価が1981年以降で最大となったようです。日本の物価は諸外国に比べるとあまり上昇していないようですが、それは消費者物価の段階の話であり、企業間の物価は非常に大きく上昇しています。要は企業はそのコスト増分を消費者に転嫁しきれていないのです。この状態が長く続くと当然ながら企業の体力はどんどん消耗していき、日本の経済力は大きく損なうことになるでしょう。そういう意味でも非常に重要なニュースです。なので今日は先日発表された日本の企業物価についてみていきたいと思います。

企業間物価は非常に大きな上昇をしている

日銀が16日に発表した国内の企業間物価指数は前年同月比で10%の上昇と、非常に高い伸びを見せました。

日銀が16日発表した4月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年同月比プラス10.0%となった。ウクライナ情勢による国際商品市況の上昇や為替円安などが押し上げ要因となり、上げ幅は比較可能な1981年以降で最大となっている。

引用:ロイターより

この数字は1960年以降で最高水準であり、企業が負担するコストが急激に増えていることが分かります。通常であればそれは消費者に転嫁されていくことになりますが、いまだに日本は需要が非常に弱く、GDPギャップも大きいためになかなか価格に転嫁できない状況が続いています。最近は食品などで少しずつですが価格転嫁の動きは見せてきていますが、10%もの物価上昇を吸収するほどの転嫁は当然ながらできていません。そんなことをすればたちまち消費は急速にしぼんでしまい、大きな景気後退に陥ってしまうでしょう。だからこそ企業はなかなか価格を転嫁できないでいるのです。

やはり資源価格の高騰が大きな影響を与えている

中身を見てみると、やはり石油をはじめとする資源価格の高騰が大きく寄与しているようです。

類別では石油・石炭製品が前年比30.9%と最も押し上げ方向に寄与した。政府の激変緩和対策事業などの効果もあって前月に比べるとガソリンや軽油の価格は若干下落したが、前年比では高水準が続いている。

また、過去の資源価格の上昇がタイムラグを伴って波及し、鉄鋼が同29.9%、電力・都市ガス・水道は同28.7%、化学製品が同10.2%それぞれ上昇した。

全744品目中、前年比の上昇は533品目、下落は149品目で、上昇品目の割合は71.6%だった。ウクライナ情勢の影響が農林水産物や飲食料品などにじわりと出てきているという。

引用:ロイターより

日本は多くの商品を輸入に頼っているため、それらの価格上昇というのはダイレクトに物価に反映されることになります。自分たちでそれらを生産できているのであればある程度はコントロールもできるでしょうが、日本のような国ではそれはかなり難しいといわざるを得ません。国際的な商品価格の影響をもろに受けてしまうのです。それと合わせて為替の影響も少なからずあるでしょう。今の商品価格の上昇に比べれば影響は小さいかもしれませんが、ここまで急激に進んだ円安というのも商品価格上昇に影響を与えていることは言うまでもありません。

自前のエネルギー・食料確保が重要

今回の状況を見る限り、やはりエネルギーを自前で確保できるようにするということは非常に重要な問題なのだろうと思います。今回影響の大きいものは主にエネルギーや食料品です。つまりこれらの問題さえ何とか出来ていればもう少し影響を少なくできていたはずなのです。エネルギーは原子力発電などをもっと活用すれば化石燃料の必要量を少なくすることができますから、物価上昇の影響も少なくすることもできるでしょう。また、最近は日本近海での天然資源の可能性についてよく聞くようになりました。それらの開発なども積極的に行い、このような事態に備えられるようにすべきです。同じことは食料についても言えます。日本は耕作放棄地などがたくさん存在します。また、農業自体の生産性も非常に低く、他国に比べると非常に無駄が大きいといわざるを得ないと思います。そのうえ最近の気候変動や食料安全保障の動きから、今後は海外産の食糧確保というのは非常に難しくなる可能性も大きいのです。そういう意味では日本の食糧事情というのは大変まずい状況なのです。しかし、逆に言うと日本にはそれだけ可能性が大きいともいえます。改善するべきところが沢山、わかりやすく存在していますのでこれからの伸びしろは大きいといえるでしょう。そういう意味でも食料自給率の上昇などの政策については早急に取り掛かるべきです。

まとめ

今日は先日発表された企業間物価の話についてみてきました。ここまで物価が上昇してくると消費者への価格転嫁というものも避けられないと思われます。しかし、需要は非常に弱く、おそらくは景気をかなり冷やす結果となるのではないかと心配しています。そういう意味でも早急な対策が求められます。特にエネルギーと食料の安定的な確保か最重要課題です。それが多少なりとも安定的に確保できるようになれば物価の安定にもつながるでしょう。そういう意味でも政府にはきちんとした対応を期待したいところです。