インフレはまだまだ収まる気配はない

現在のところインフレは全く収まる気配はありません。FRBの強い引き締め姿勢を受け、株価が下落傾向にありますが、物価の上昇を抑えるほどの影響力はないようです。そのため今後も引き締めの方向はより強くなることはあっても緩むことはないでしょう。そのような予想をジェレミー・シーゲル教授がしていたようです。今日はそれを元に話をしていきたいと思います。

米国のインフレは収まる気配がない

ジェレミー・シーゲル教授は28日のラジオで以下のような発言をしました。

「インフレに関するニュースには何も改善が見られない。雇用コスト指数が少し安心感を与えるところがあるが・・・賃金(変化)はインフレに遅れる性質があり、インフレ圧力の先行指標ではない。」

引用:The Financial Pointer 【短信】ローテーションはまだ続く:ジェレミー・シーゲル より

米国のインフレは依然改善しておらず、予断を許さない状況のようです。7%を超えるインフレがそんなに簡単に落ち着くとも思えませんから当然といえば当然ですが、なかなか厳しい状況のようです。そのためFRBの引き締め政策は予想通り進んでいき、今年中に金利は2%かそれ以上になるとシーゲル教授は見ています。現在の低金利の状況を考えると2%というのもかなりのものだと思いますが、7%の物価の上昇を抑えるには若干物足りないものだとは思います。そうなるとインフレが収まるのは少なくとも来年以降となるのでしょうか。だとすると株式市場が回復するのも時間がかかりそうです。かといって一気に金利を引き上げたり引き締めの方向にかじを切ったとしても実体経済をはじめ株式市場にも大きなダメージを与えることとなり、結局は株価下落、景気後退となるでしょうから何とも難しい状況だということです。

インフレ要因はそこら中に転がっている

米国だけでも大変な状況ですが、世界を見るとさらに不安定感は増してきています。不安定要素は様々あると思いますが、大きな要因の一つとしてはウクライナ情勢があるでしょう。現在ウクライナとロシアの間が非常に緊迫した状態になっています。そのことによって米国の一番の問題であるインフレが加速されている可能性が大きいのです。理由としてはロシアの石油や天然ガスなどの資源とウクライナの穀物などの商品が問題となっています。ロシアは御存じの通り、世界有数の資源大国です。その資源はパイプラインを通じてドイツをはじめ欧州に供給されています。なのでロシアの気分次第でその供給はどうにでもなるので、ウクライナ情勢次第で資源価格は高騰する可能性があります。すでにその影響は出てきており、石油先物価格は上昇傾向にあります。また、そのパイプラインはウクライナを通過しているものもあり、ウクライナ国内でパイプラインの破壊などが起きればロシアが供給を閉めなくとも供給が滞る可能性があるのです。さらにウクライナというのは欧州一の穀倉地帯を抱えている世界的な穀物輸出国なのです。なのでそこが不安定になれば当然世界の食物価格や需給に大きな影響を与えることとなります。このことがインフレに拍車をかけることとなっているのです。

世界経済の健全化はまだまだ先

このようにインフレが収まるという気配はほとんどないといっていいでしょう。少なくとも今年中にインフレが抑制され、世界経済が順調に成長していくとはとても思えない状況です。何かしら良いアクシデントのようなものが起こり、一気にインフレが縮小すればいいのでしょうが、そう都合のいいことはなかなか起こるものではありません。ウクライナ情勢などを考えればむしろ悪化することの方が十分あり得そうです。そういう意味でも世界経済の回復というのはまだまだ先なのかなと思いました。

まとめ

今日はシーゲル教授の発言から今後の経済について考えてみました。インフレを何とか抑制し、早く通常の状態に戻ってほしいとは思いますが、なかなか難しそうです。ウクライナ情勢についてはその当該国の特性もあり、世界的な資源・穀物価格に対する影響は避けられないでしょう。であればインフレが落ち着くということはしばらくないかもしれません。ロシアが覇権国家としての野望をあきらめてくれればいいのですがプーチン大統領がそのような決断をすることはまずないでしょうね。中国の動きもそうですが、国際政治の状況はとても経済にとって良い影響があるとは思えません。そういう意味では非常に厳しい時代となるかもしれません。しかし、過去を振り返れば大きな世界大戦や金融危機を何度も経験していますが、それでも経済成長を続けてきたのですから、その傾向が変わるということはないと思います。短期的な損失は出てしまうかもしれませんが、あくまで長期的な視点でじっくり投資に取り組んでいきたいと思います。