インデックス算出企業が持つ政治力について

インデックス投資が個人投資感にとって非常に有益であるということはもう何度も言っています。そしてそのことは多くの投資家や専門家も認めているところで、インデックスに長期投資することが最適解であるという認識はかなり広がっていると思われます。ではインデックスとはどのように決まるのでしょう。これはAIなどが機械的に決めているわけではありません。多少なりとも定性的な情報が介在してしまいます。そのため、グローバルなインデックス算出会社が国際的な政治力を持つという事態になっているようです。これは非常に興味深い話であり、考えさせられるものです。というわけで今日はインデックス算出が国際政治に与える政治力について考えてみたいと思います。

インデックスというものは何を表しているのか

インデックスというのは日経平均株価やS&P500などが有名です。これは日本や米国の株式市場の全体像を見るときにとても重宝します。各市場の現状を認識するために多くの人が利用しているでしょう。しかし、これらの指数というのは本当に各市場の状態を正確に表しているのでしょうか。そもそも何を持って全体像とするのかというのは非常に曖昧なものです。日経平均について言えば、日本経済新聞社が東証一部に上場している企業から業種等のバランスを考慮し、選びだした225社の株価の平均値です。つまり、極端なことを言うと、この225社というのは日本経済新聞社のさじ加減次第でどうにでもなってしまうのです。もちろんいい加減なことをすれば日本経済新聞社の信用が傷つきますから、そんなことはしないでしょう。しかし、意識しなくとも人間の意志が介在してしまうということは否定できません。なぜこの企業は選ばれたのか、なぜあの企業は選ばれなかったのか。つまりインデックスという指数は思っているほどにその国や市場の全体像を正確には表してはいないのかもしれないのです。

さじ加減一つで大きなダメージを与えることもできる

その結果どのようなことが起きるのでしょうか。インデックスに採用されるというだけでその国や市場、企業には大量の資金が流入します。例えば先進国株式というインデックスがありますが、それに採用されればそのインデックスをターゲットにしているETFや投資信託など様々な資金が大量にはいってきます。そして採用されなければ当然資金の流入はありません。この差は非常に大きいものです。特に新興国のように市場自体が小さいものであれば採用されたり外されたりするだけで大きく株価は動くことになるでしょう。身近なところでは、最近東証では市場の再編作業が行われ、一部や二部という枠組みからプライムやスタンダードなどの区分けに変更されました。これは東証に上場している企業にとっては、インデックス算出の変更によって自社に対する投資資金の変化がもろに出てくる事態となっているはずです。今まで東証一部に上場していたにもかかわらず、プライム市場に区分けされなかった企業というのはいくつか存在します。東証一部を対象として指数というのはおそらくはそのままプライム市場を対象とする可能性が高いです。そうなると今まではインデックスに採用されていたために資金が流入していた分はそのまま外へ流れていってしまう可能性が非常に高く、株価下落要因となるでしょう。企業としては業績や事業内容に全く問題がないのにもかかわらず、株価が大きく下落する可能性が出てくるという非常につらいことが起こるのです。その結果資金調達がうまくいかず、事業に支障をきたす可能性だって出てきます。このようにインデックスに採用されるかどうかというのはその対象となる企業や市場に大きな影響を与えるのです。

経済戦争の武器となる可能性もある?

このインデックスの採用問題というのは非常に難しい問題だと思います。インデックスというものの性質上、個人や企業の思想信条などはできるだけ排除するべきですが、そのような方法はなかなか見つけづらいのではないでしょうか。最終的には人間が決定するのですからそこには人の意志が介在するでしょうし、例えば先進国というものの基準をどうするのかとか、例外規定は設けるのかなど言い出したら切りがありません。その決定次第で株式市場の資金の流れが大きく変わるのですから、インデックス算出企業というのは意図せずとも大きな政治力を持ってしまったということになるのでしょう。実際にその政治力を使って何をしているのかというのはわかりません。その証拠はありませんし、正直私には調べるすべもありません。しかし、その可能性があるというだけで疑惑を持たれる可能性もありますし、もしかしたら将来インデックス算出にかかわる国際問題なんて言うものも起きるのかもしれません。

まとめ

今日はインデックス算出にかかわる政治問題について考えてみました。正直、インデックスがここまで政治力を持っている可能性について考えたことがなかったので、この話を見た時はなるほどなと思いました。先ほど話した東証再編の話もそうですし、少し前には日本の企業が国際的な指数からの採用がどんどん減っていっているという話も書いた記憶があります。その結果として当然投資資金は大きく減少したはずですし、企業活動にも影響が出てくるでしょう。そういう意味ではすでにインデックス算出による経済戦争は起きているのかもしれません。