米国株市場が魅力的である事実は変わることがない

今年は例年よりも低いパフォーマンスが予想されている米国市場ですが、それでも魅力的な株式市場の一つであるということには変わりないと思います。世界の株式時価総額の約半分を占める米国は決して無視できる市場ではありません。そして世界的な技術を持った企業もたくさん存在し、少なくとも近い将来においては世界の株式市場をリードしていくことでしょう。米国株式について弱気になっている人もいるかもしれませんが、長期的に見ればむしろ価格下落は好都合です。今まで高くて買えなかった優良株を買えるチャンスが来たのですから、この下落を前向きにとらえていきましょう。

以前魅力的な米国株式市場

新興国市場投資の大ベテランであるマーク・モビアス氏は米国市場の優位性について揺るぐことがないとみているようです。

もちろん米国は最終的に勝者だ。米国はほとんどの大企業、グローバル企業のある経済だからだ。だから、米国への配分は大きくあるべきだし、間違いなく欧州より多くあるべきだ。

引用:The Financial Pointer 【短信】米国株が勝者である理由:マーク・モビアス より

モビアス氏はこのように述べ、米国は以前優位な地位を占めており、最終的には勝者になるといっています。個人的にはこの意見に賛成ですし、米国に投資している人の多くはそう感じているのではないでしょうか。だからこそ米国に投資しているのだと思います。日本人である私から見ても米国が完ぺきな国だとは思いません。非常に問題も多く、リスクも抱えているとは思いますが、投資家の観点から見て米国ほど投資環境があらゆる面で優れている国はないでしょう。法規制もきちんと整備されていて、自由に投資ができるということは何よりも素晴らしいことです。そして世界的な大企業が多く存在していることもメリットの一つでしょう。いわゆるGAFAと呼ばれるような世界をけん引している企業群がありますが、すべては米国企業です。それ以外にもそれぞれの最先端を行く企業というのは大抵米国市場に上場していることがよくあります。そういう意味でも米国に投資するということは世界をリードしている企業に投資するということになるのです。仮に世界が大不況に陥ったとしてもグーグルやアマゾンといった企業が破産するといったことはまずありえないでしょう。そのくらいこれらの企業というのは大きくなっており、また社会に対する影響力も巨大になっています。このような企業がたくさん存在するのが米国なのです。新興国の方がより利益を狙いやすいのではないかと思うかもしれません。確かに一時的に大きく成長する可能性でいえば新興国の方がいいかもしれませんが、やはり安定感鋳掛、リスクが大きすぎると思います。順調な時はいいかもしれませんが、いったん弱気な相場になると一気に2分の一、3分の一と株価が下がっていくのが新興市場です。そのようなリスクはなかなかとりづらいものです。仮に投資するにしてもごく一部にとどめ、多くは米国などの安定した市場に投資する方が健全ではないかと思います。

米国も新興国化してきている?

非常に魅力的な米国市場ですが、モビアス氏は重要な視点で投資家に注意を促しています。

米市場でとても重要なのは、米企業の多くが実質的には新興国市場の企業である点だ。利益・生産の大きな部分、もしかしたら過半は中国、インド、ベトナムほかの新興国市場で生まれている。

引用:The Financial Pointer 【短信】米国株が勝者である理由:マーク・モビアス より

この点は日本も同じで、企業は今や一つの国のみで事業をしているということはほぼありません。大企業になればなるほど海外に拠点を設け、事業を展開しています。また、中小企業においてもたとえ国内にしか事業所がなくても、部品を海外から調達していたり、顧客が海外に多く存在していたりと、グローバルなマーケットの動きというのが非常に重要になってくるのです。今回の新型コロナウィルスパンデミックにおいても、海外の工場が稼働停止になった影響というのが随所に現れ、問題となっています。米国の企業も当然中国をはじめ世界各地で事業を行っています。その結果、収益のほとんどを海外から得ているというところも少なくないでしょう。そうなると米国内の経済事情や政治状況よりも、現地の経済事情や政治状況の方が大きな影響を受けやすくなっているのです。その点をモビアス氏は指摘し、投資家に注意を促しているのです。投資をするうえでたった一つの国や企業に注目しておけばよいというものではありません。世の中は非常に世界中の企業や社会状況などと密接に連動して動いています。なので米国に投資しているといって海外のニュースを無視していいというわけではないのです。特に中国をはじめとした新興国の状態というのは気を付けてみておいた方がいいでしょう。日本や欧州なども非常に大きなマーケットですが、新興国に比べれば安定しており、予想もつきやすい国だと思います。しかし、新興国というのは成長著しいといってもまだまだ不安定なところがあり、何かのきっかけで国内が大混乱するなんてこともよくある話です。そういう点については注意をしなければならないし、実質的に米国企業もそのような新興国の企業の側面が無視できないほど大きくなっているのです。

まとめ

今日は米国市場の優位性について考えてみました。今年は非常に米国株式市場にとって非常に厳しい年になりそうですが、魅力的な市場であることには変わりないと思います。米国には世界をリードする企業が多く存在し、技術革新も非常に進んでいます。なので最終的にはモビアス氏が言う通り、米国は勝者になるでしょう。もちろんリスクも存在し、今回述べたような実質新興国のようになっている米国企業も多く存在します。なので米国よりも中国や新興国の国内情勢に注意を払う必要もあるのです。そういう意味ではなかなか大変な状況かもしれませんが、あまり短期的な株価下落に惑わされないように、どっしりと構えていきましょう。