米国株積立サービスを比較検討してみた

インターネットの普及により個人の投資環境は格段に整備されてきました。私が投資を始めたのはもう20年前になりますが、当時と比べると想像もつかないほどです。手数料も高いし、投資商品なんて今から考えるとひどいものだったなと思います。日々進化する投資環境が個人投資家にとってとても有益であるということは間違いないでしょう。その中で先日、楽天証券から米国株の積立投資サービス開始の発表がありました。長期投資をしている人にとってこのサービスは非常にありがたいもので、利用している人も多いのではないかと思います。これによりSBI証券とマネックス証券につづき、3社目の米国株積立サービスの取り扱いとなりました。そこで今日はこの3社の米国株積立サービスを比較してみたいと思います。

米国株積立サービスとは

米国株積立サービスは一定の決まった間隔で予め設定した株やETFなどを自動で買い付けてくれるサービスです。一度設定してしまえばあとはすべて自動で買い付けを行ってくれるので、投資にかけるコストを大幅に減らすことができます。決まった間隔で定期的に買い付けていくのでドルコスト平均法による効果も得られ、長期投資には非常に有用のものです。

ネット証券3社の違い

現在米国株積立サービスを提供しているのはSBI証券、マネックス証券と今回サービス開始を発表した楽天証券の3社になります。それらのサービスについて簡単にまとめたものが以下の図になります。

利用料

基本的にサービス利用料は無料です。しかし、あくまで積立サービスの利用が無料なのであって、売買手数料は通常通り適用されます。

取扱商品

3社とも各証券会社で取り扱っている個別銘柄やETFを設定することができます。なので単純に各社が取り扱っている商品量が違いとなってきます。有名な銘柄やETFなどはどこも取り扱いがあるので大きな違いはないでしょう。

対象口座

総合口座に加えてNISA口座でも設定できるので、非課税枠を利用した積み立ても可能となります。SBI証券はジュニアNISAも利用できるのでこちらを利用したい人はSBI証券を使う必要があります。しかし、ジュニアNISAは2023年に廃止される予定なのであまりメリットはないような気がします。

価格設定方法

SBI証券と楽天証券は成行注文のみです。マネックス証券は指値注文で、対象銘柄の前営業日終値の110%の価格で買付可能株数を算出し、当該価格にて当日中の指値注文を発注します。成行だと思わぬ価格で約定してしまうこともあるかもしれませんが、確実に約定はできます。指値だとそういうことはないと思いますが、買付できない可能性が出てくるのでそこは注意が必要なのかなと思います。

設定日時

SBI証券は日付指定や曜日指定やボーナス設定ができ、しかも複数の日時や曜日を設定できるので非常に柔軟な発注ができます。楽天証券やマネックス証券はSBI証券に比べるとやや設定方法が限定されています。ただ、個人的にはそこまで細かくする必要もないような気がするので大きなメリットといえるかどうかはわかりません。細かい設定がしたいのであればSBI証券を利用するといいでしょう。

設定株数

SBI証券は1株以上1株単位と非常に細かく設定できます。楽天証券は1株単位で設定はできますが、最低設定金額以上の株数は設定する必要があります。マネックス証券については株数で設定することはできません。これはおそらくドルコスト平均法を意識して設定できないようにしているのではないかと思われます。いずれにせよ設定株数も各社違うので自分の用途に合わせた設定ができる証券会社を選ぶ必要があります。

設定金額(米ドル)

SBI証券は1セント以上1セント単位と非常に細かな設定が可能です。楽天証券は1万円相当額の設定で1ドル単位となります。マネックス証券は100ドル以上1ドル単位の設定です。ここでもSBI証券が細かく設定できるようになっています。

設定金額(円貨)

SBI証券、楽天証券ともに1円以上1円単位で設定できます。しかし、マネックス証券では円貨での設定はできません。なので前もって円をドルに換えておく必要があります。両替の手間も自動化したいと思っている人は注意が必要です。

決済方法

SBI証券と楽天証券は米ドルと円、マネックス証券は米ドルのみです。

その他

SBI証券はNISA利用時に【NISA枠ぎりぎり注文】と【課税枠シフト注文】を利用することができます。これは投資信託の積立でも利用できるサービスで、NISA買付枠を可能な限り利用できるようにしてくれるサービスです。NISAを利用しようとしている人にとっては非常にありがたいサービスではないでしょうか。これを利用することによってNISA枠の無駄を極限まで少なくすることができます。

楽天証券はポイント投資とマネーブリッジが利用できることが特徴です。マネーブリッジは証券購入時に楽天銀行から自動で入金してくれるサービスで、いちいち証券口座に現金を準備する手間が省けるので非常に楽になります。また、ポイント投資は楽天ならではのサービスで、グループ共通のポイント制度である楽天ポイントで積立ができるというものです。楽天ポイントは今や多くの人が利用しているサービスですから興味のある人も多いのではないでしょうか。ただ、マネーブリッジとポイント投資に共通して注意しなければいけないことは、どちらも円貨決済時のみ利用できるサービスであるということです。米ドル決済では利用できないので注意が必要です。

マネックス証券では配当金を自動で再投資してくれるサービスがあります。配当金の再投資は複利の効果を最大限に利用するには欠かせないものです。これを自動で行ってくれるというのは非常にありがたいサービスです。

総評

印象としてはSBI証券が非常に柔軟な設定ができる印象です。ただ、楽天証券やマネックス証券でも必要条件は十分みたいしていると思うので、3社とも大きな差はないとは思います。細かい点では違いがあるのでそれぞれのニーズに合った証券会社を選べばいいと思います。具体的に言うと、とにかく設定を細かくしたい人やNISAを最大限活用したい人はSBI証券、楽天ポイントを投資に使いたいという人や入金作業まで自動化したい人は楽天証券、複利効果を最大限にするため配当金の再投資も自動化したい人はマネックス証券という感じでしょうか。

まとめ

今日は米国株積立サービスについて現在の状況をまとめてみました。米国投資をしている人にとっては非常に魅力的なサービスだと思いますし、投資にかかるコストを極限まで削りたいと思っている人には欠かせないものだと思います。ただ、個人的には為替手数料がかかりすぎるので、手動で住信SBIネット銀行を利用してSBI証券で買付を行っています。やはり為替手数料が25銭と4銭ではかなり違いますからね。しかし、手間はかかってしまうので、それを省けるという意味では利用する価値は十分にあると思います。それぞれ自分に合った投資方法を見つけてもらえればいいのではないでしょうか。