5月のFOMCにて0.5bpの利上げの可能性が高まる

先日、FRBのパウエル議長は次回、5月のFOMCにて前回よりもより大幅な利上げを行う可能性を示唆しました。これはFRBがインフレに対してより警戒感を示している証拠であり、市場が想定したよりもかなりタカ派に触れているような印象があります。しかし、それだけ現在のインフレは非常に問題であるということが改めて確認できる出来事であり、とても重要な問題でしょう。そういうわけで今日は先日発表されたパウエル議長の発言について考えていきたいと思います。

5月に0.5bpの利上げの可能性がかなり高まった

パウエル議長は21日、全米エコノミスト協会で講演しました。そこでFF金利の誘導目標を複数回にわたって0.25bp以上、上昇させる可能性を示しました。

パウエル議長は21日、全米企業エコノミスト協会(NABE)で講演。「FF金利誘導目標を1会合ないし複数の会合で0.25ポイント超引き上げる、より積極的な行動が適切だとの結論に至った場合は、そうするだろう」と話した。

引用:Bloombergより

そして次回のFOMCにてその可能性があるのかという質問に対してはそれを妨げるものはないとも発言しています。

講演後の質疑応答では、5月FOMC会合での0.5ポイント利上げを妨げる要素はあるかとの質問に対し、「妨げるものなどあるだろうか。何もない」とした上で、決定はなされていないが、最新のデータで正当化されれば可能性はあるとの認識を示した。

引用:Bloombergより

記事にもあるように決定したことはまだ何もありません。ただ、公の場においてここまではっきりとした発言をするということは、よほどのことがない限り5月のFOMCにて0.5bpの利上げが行われるということはほぼ間違いないでしょう。もちろんウクライナ情勢などの影響により景気が大きく落ち込むなど、状況が変われば柔軟に対処していくのでしょう。いづれにせよ今後はよりインフレに対して積極的に対処していくのだという姿勢を示したということは非常に大きいと思います。

為替は大きく動き出した

この影響もあってか為替市場では円安ドル高が進んでいます。パウエル議長の発言異常は大きく円安が進み、119円台であったものが、24日には121円にまで円安が進みました。日本は先日の金融政策決定会合でもあったように、金融緩和政策の維持を決定しています。なので今後は今以上に日米での金利差は開いていくことがほぼ確実な状況です。為替は金利だけで動くものではありませんが、ここまではっきりと金利差が出てくるようだとさすがにその影響は大きくなってくるはずです。なのでこの傾向は今後もしばらくは続いていくでしょう。

円が弱くなる時こそ外貨建て資産での運用が重要

そういう意味でも円建ての資産というのは相対的に不利になっていく可能性が高いです。仮に日本株が上昇したとしてもドル換算で見ればあまり大して資産が増えていないという状況になっていきます。そういう意味でもしばらくは円建てよりも米ドル建てなど円以外での資産の割合を増やした方がいいと思われます。この円安が一時的なものである可能性もありますが、日本という国の経済力などを総合的に見ると、今後大きく円の力が強くなるということはあまり考えにくいのではないかと思います。そういう意味でも円資産の割合の多い人はこの機会に外貨建ての資産運用を始めるべきだろうと思います。

まとめ

今日は先日のFRBのパウエル議長の発言についてみてきました。いったんタカ派になったパウエル議長は市場の予想を超える勢いでタカ派に染まっているなという感じです。それだけ今のインフレに対する警戒感が強いということなのでしょう。ウクライナ情勢は社会的には大きな問題となっていますが、株式市場にとってはやはりFRBの金融政策の方が重要であり、そのFRBがよりインフレを警戒しているという事実はきちんと認識しておく必要があるでしょう。この非常にタカ派となったFRBの姿勢が正しいのかどうかはわかりません。識者の中には楽観的な人も悲観的な人もいます。これからスタグフレーションをはじめとした大きな景気後退局面が訪れるという人もいれば、FRBがうまくハンドリングをしてそう遠くない将来に景気は持ち直すだろうという人もいます。どちらが正しいのかは私にはわかりません。それは歴史が証明していくものでしょう。ただ、わかっていることは投資を継続して行っていかなければならないということです。周りの状況に左右されて株を売ったり買ったりしてはいけないのです。今後も自由な市場経済が続いていくはずだと信じているのであれば、何も恐れることはないのです。