FRBは過去の失敗を反省すべきとシーゲル教授は述べている

FRBは今後は非常に厳しい姿勢でインフレに臨む姿勢を見せています。しかし、それが本当に正しいのかは誰にもわかりません。多くの識者はインフレ抑制のために厳しい姿勢で臨むべきだといっていますが、そうではない人もいますし、やり方に異論を唱えている人も多くいます。そういう意味では先行きの不透明感はどんどん増してきており、投資家としては非常に環境が悪化してきているなと感じています。というわけで今日はFRBの金融政策について考えていきます。

今後も厳しい金融政策を続けていくのだろう

米ボストン連銀のコリンズ総裁は26日、イベントで講演をし、今後も厳しい金融政策を続け、インフレを抑制しなければならないということを発言しました。

米ボストン連銀のコリンズ総裁は、就任後初となる講演で、根強い高インフレを抑制するため一段の政策引き締めが必要だとした上で、その過程で一定の失業が生じることは避けられないとの認識を示した。

  総裁は26日、ボストン都市圏商業会議所のイベントで講演。事前に配布された原稿によれば、「インフレを目標に回帰させるには、金融政策のさらなる引き締めが必要だ。最近の連邦公開市場委員会(FOMC)の予測でもそれは示唆されている」と指摘。「インフレが鈍化しているという明確かつ説得力ある兆候を目にすることが重要だ」と述べた。コリンズ総裁は今年のFOMC会合で投票権を持つ。

  コリンズ総裁はインフレについて「依然として高過ぎる」と言明。ただ、インフレ抑制に向けどの程度の追加引き締めが必要になるかについて、具体的な言及はなかった。米消費者物価指数(CPI)は8月、前年同月比で8.3%上昇となった。

  パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめ金融当局者らは、インフレ抑制への取り組みは企業や家計に失業などの痛みをもたらす恐れがあるとの認識を示している。コリンズ総裁もこの日の講演でそうしたリスクを認め、不利な条件に置かれた労働者はさらに一層の痛みを被ることもあり得ると指摘した。

  総裁は「物価安定の達成には、雇用の伸び減速と幾分かの失業率上昇が避けられないと私はみている」とし、「失業が痛みを伴うこと、そしてその代償が社会の主流から取り残されてきた層に偏って集中しているということを、私は非常に真剣に捉えている」と語った。

引用:Bloombergより

コリンズ総裁はこのように述べ、多少の痛みが伴うことは覚悟しなければならず、インフレ抑制を積極的に行っていくべきと発言しています。これはパウエル議長や他の関係者の発言とも一致するもので、今後もFRBは厳しい金融政策をもってインフレに対処していくという決意の表れなのかなと思います。

過去をしっかりと反省すべき

しかし、そのやり方に異を唱える人もいます。ペンシルベニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授はFRBの金融政策はあまりに強固すぎると批判しています。

米金融当局は「あまりにも強硬過ぎる」姿勢を示しており、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は過去2年間に及ぶ金融政策の不手際に関して謝罪するべきだと、ペンシルベニア大学ウォートン校のジェレミー・シーゲル教授(金融学)は指摘した。

  シーゲル氏はCNBCとのインタビューで、米当局は過度に強硬かつタイトな姿勢をあまりにも長期にわたって続ける可能性が高いと発言。住宅価格やコモディティー価格、貨物輸送料の下落といったデータが示す「フォワードルッキングな実際のインフレ率を踏まえれば」、フェデラルファンド(FF)金利先物はタイト過ぎると述べた。

  その上で、インフレに関して「中身のない話を続ける」より、リセッション(景気後退)のリスクの方がはるかに高いと論じた。

引用:Bloombergより

シーゲル教授はこのように述べ、現在の厳しい金融政策について強固すぎるという発言をしています。シーゲル教授はかねてからFRBの金融政策を批判してきました。しかし、かつては金利が低すぎるという批判をしてきた教授ですが、今回は強固すぎるという批判をしています。これは発言の中にもあるように過去のFRBの間違いについてということなのでしょう。教授は金利を上げなければいけないという認識はあるのだと思いますが、そのタイミングを間違えているということなのだと思います。もっと早くに金利を引き上げていればこのようなことにはならず、穏やかに経済を落ち着かせることができたということでしょう。しかし、現在のような状況になってから急激に金利を引き上げるのでは不動産や商品価格など経済に与えるダメージが想像j以上に大きくなり、景気後退のリスクが高くなってしまうということなのだと思います。なのでその失敗について真摯に受け止めるべきだということです。おそらくはその失敗のために米国はより大きな代償を支払うことになると教授は見ています。それはかねてより発言していました。もし、教授の見方が正しいのであれば、今後は大きなリセッションに直面し、莫大な代償を払うことになるのでしょう。

まとめ

今日はFRBの金融政策について考えてみました。コリンズ総裁の発言にもあるように、FRBは今後も厳しい金融政策を実行していくものとみられます。そして景気後退についてはある程度仕方ないという認識も共有しているようです。そういう意味ではリセッションの可能性は非常に高くなったといわざるを得ないでしょう。そしてシーゲル教授の見解ではその失敗の原因はFRBの過去の金融政策にあるということです。私は専門家ではないので過去の政策が正しかったかどうかの判断はできません。ですが、未来について多くの識者があまりよい創造をしていないという事実を考えると、やはりある程度のリセッションというのは仕方ないのだろうなという感じです。なので、あとはそれをどれだけ小さなものにできるのかというところが問題になるのかなという感じです。ですが世界を見渡してみると不安要素しかなく、今後の先行きにあまり期待できないなという感じはします。