FRBはいつまで利上げを続けるのか

FRBによる利上げが継続されていくことが確実な情勢ですが、果たしてこれはどこまで続くのでしょうか。多くの人が薄っすら感じているとは思いますが、何の代償もなくこの引き締めが終わるということがないような気はしています。そのような意見も多く存在し、FRBが目指すソフトランディングというのはなかなか難しいのではないかというのが現状でしょう。今日はそんな中の一つの意見について紹介したいと思います。

FRBはどこまで利上げを続けるのか

グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏は自身のツイッターにFRBは現在の利上げについて何らかの破壊が起きるまでは継続していくだろうという発言をしました。

米投資運用会社グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード最高投資責任者(CIO)は6日、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局について、「何かが壊れる」まで利上げを続けるだろうとツイートした。

  「インフレや失業率、もしくはそれ以外のマクロ経済的要因に基づくフェデラルファンド(FF)金利引き上げ終了の見通しを投資家は投げ捨てることができる」とし、自身の観点からは「亀裂が生じつつある」と指摘した。

  マイナード氏はその後、CNBCでこのツイートに関し、米金融当局が11月初めにも引き締めを停止して姿勢転換を余儀なくされる可能性があると説明。当局が意図に反した行動を強いられる「金融アクシデント」のリスクは増しており、投資家が準備しておくべきだと語った。

  その上で、こうしたアクシデントは米金融当局による引き締め局面で「発生する傾向」があって市場の窮状から生じるとし、通貨供給量M2が大恐慌以来となる「実際の縮小」に見舞われているとコメントした。

引用:Bloombergより

このようにマイナード氏は今後もFRBは利上げを継続していくと予想しています。そしてその結果として、何かが壊れるとも言っています。これはおそらくは経済に大きなダメージを与えるまで利上げは継続されるということなのだと思います。現在、FRBは利上げの手を緩める気配を見せていません。景気に関して言えばかなり減速してきている兆候は見られます。しかし、雇用環境は比較的堅調であり、このことから利上げの手を緩めることなくインフレを抑制していくべきだという意見です。これはパウエル議長をはじめ、多くのFRB関係者に共通する考えのようです。したがって今後も利上げは継続されることになるでしょう。

ソフトランディングは不可能?

その結果としてマイナード氏は何かが壊れるということを予想しています。FRBはそうすることなく、いわゆるソフトランディングが可能だとみていますが、マイナード氏はそうとは思っていないようです。以前にもマイナード氏は10月中旬には株価は大きく下落すると予想してきました。現在、株価は大きく下落してきており、その予想通りに推移しています。そういう意味ではマイナード氏が予想する破壊というのはもうそろそろ起こるのかもしれません。

もうそろそろ限界にきている

おそらくはこの後、堅調だった雇用にも大きな影響が出てくるということでしょう。物価も依然高いまま、雇用も大きく落ち込むということになれば米国経済のダメージというのは深刻なものとなるはずです。その結果としてFRBは政策の変更を余儀なくされるとマイナード氏は見ています。確かに雇用については依然として堅調であり、米国経済の力強さを表しているともいえます。しかしながらそのような状況がこれだけの引き締めの中、継続していけるとはとても思えません。いずれその流れが反転するときが来ることでしょう。そしてそれはもうすぐそこまで来ているのかもしれません。

来年にわたり、厳しい状況が続くと思われる

実際のところどうなるか問うのは何とも言えません。しかし、今のところマイナード氏の指摘した通りの結果となっているようにも思えます。だとすれば今後11月くらいに雇用の環境も激変し、FRBは引き締めの手を緩めざるを得なくなるのかもしれません。そうなると一時的には株式市場にとっては好材料となるかもしれませんが、インフレの中、緩和政策をするということはさらにインフレを加速させることになるため、米国経済にとっては良いことではないでしょう。そういう意味では年末から来年にかけての動きというのは非常に厳しいものとなるのかもしれません。

まとめ

今日はスコット・マイナード氏の意見についてみてきました。実際にどうなるかということはわかりません。しかし、現在の状況を冷静になってみればそうなっても全く不思議ではないといえるでしょう。来年の経済成長率は米国は日本よりも低い予想となっています。そういう意味では今後しばらくは厳しい状況が続くのだろうという印象です。