サマーズ元財務長官がパウエル議長の発言を評価する

先週のジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言は多くの市場関係者が驚きをもって受け止めました。株式市場がその発言のあと、大きく値を下げたことからもそれはよくわかります。しかし、すべての人がその発言について悲観的にとらえているわけではありません。当然ながら肯定的にとらえている人はたくさんいます。サマーズ元財務長官もその一人で、以前からパウエル議長を厳しく批判してきました。FRBの遅すぎる対応とぬるい政策をいつも判断を間違えたと言ってきた一人です。そして今回はそのサマーズ氏はパウエル議長の発言を大いに称賛しました。大変珍しいことですが、ただ批判するだけではなく、きちんとやることをすれば評価をするという当たり前といえば当たり前のことです。そんな議論が多く行われることを期待したいです。というわけで今日はサマーズ氏のパウエル議長の発言に対する発言についてみていきます。

サマーズ元財務長官がパウエル議長の発言を評価

サマーズ元財務長官は先日行われたジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言について、珍しく称賛する発言をしました。

サマーズ元米財務長官は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長があらためてインフレ抑制を約束したのは「毅然(きぜん)とした態度の表明だ」と述べ、珍しくパウエル議長を称賛した。

  パウエル氏は26日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで講演した。講演直後にサマーズ氏は「やるべきことをした」と評価。インフレを40年ぶりの高水準から引き下げることが米金融当局の「圧倒的な優先事項」であるのは明確だと話した。

  ブルームバーグTVのコメンテーターとハーバード大学の教授を務めるサマーズ氏は過去に、米金融当局は最近のインフレ急上昇を認識し損ない、そのインフレ退治のペースはあまりにも遅いと繰り返し批判してきた。

  サマーズ氏はこの日、パウエル議長がインフレ抑制に関し、長期的な繁栄を確保するためなら雇用と賃金への短期的な悪影響は受け入れられると指摘し、払わなくてはならない犠牲があると認めたことを称賛した。

  パウエル議長は「インフレ退治を優先した上で、その優先付けが厄介な短期の悪影響を伴うと認識していることを明確に示した」と、サマーズ氏は語った。

引用:Bloombergより

サマーズ氏はこのように述べ、パウエル議長の発言を評価しました。いつもは厳しい発言ばかりの同氏ですが、今回のパウエル議長の発言には満足が行ったようです。以前よりサマーズ氏はインフレに対して後手後手に回っているFRBに対して批判的な発言をしていました。パウエル議長に対しても厳しい物言いでFRB批判を頻繁に行っています。しかし、今回に限ってはパウエル議長の発言を評価したようです。確かに今回のパウエル氏の発言はとても厳しいものであり、一部に漂っていた緩和論を一瞬で消し去るものでした。そして今回パウエル議長が発言した内容は以前からサマーズ氏が求めていたものと非常に近いものであり、それが評価する原因となったのでしょう。サマーズ氏は以前から景気後退を恐れずにインフレに厳しい姿勢で臨むべきだという発言を繰り返していました。そしてパウエル議長も今回同じような発言をしています。そのためサマーズ氏も満足したということでしょう。

FRBの政策が大きく変わった可能性

いつも批判していたサマーズ氏がこれだけ評価するのですから、今回のパウエル議長の発言はこれまでのFRBの姿勢を転換したものともいえるのかもしれません。これまでは比較的厳しい姿勢を示しながらも経済にも配慮した政策を行っていたような感じはします。そのため厳しすぎるインフレ抑制策というのは行ってこず、サマーズ氏らの反発を招いたのでしょう。しかし、今回の発言でサマーズ氏が評価したように明確な姿勢を示しました。そういう意味では今後はインフレ抑制のためにより厳しく望んでいくのかもしれません。FRB関係者の発言でも、それほど金融政策を緩めるような発言というのは最近は聞かれなくなったような気がします。そういう意味でも今年のジャクソンホール会議も大きな金融政策の転換点となったのかもしれません。

まとめ

今日はサマーズ元財務長官の発言から今後の金融政策について考えてみました。サマーズ氏がこれほど評価するというのはかなり意外な感じがします。ただ、パウエル議長の発言内容を見てみればまあ当然かなという気もしますし、きちんとやることをすれば評価はするという当たり前のことができているということなのでしょう。いずれにせよ今後はより厳しい金融政策が続いていくのであろうというのが個人的な感想です。ジャクソンホール会議が今年も大きな重要なイベントであったとのちに言われる可能性もあるのだろうなといったところです。