不動産市場は相変わらずだが、来年は回復してくるかも?

金利の上昇とともに停滞を続ける不動産市場ですが、来年にはその流れも変わってくるかもしれません。11月の中古住宅の販売も相変わらずの低水準でしたが、住宅ローン金利は低下傾向を示しており、今後の先行きに関しては少し期待が持てるところです。また、来年の住宅建設セクターに対する強気の見方も出てくるなど、厳しい状況下ではありますが、明るい兆しも見えてくるようになったのかなという感じです。そういうわけで今日は不動産市場についてみていきます。

住宅販売は依然低調。しかし、明るい兆しも見えてきた

11月の中古住宅販売成約数は依然として低下しており、不動産市場がまだまだ回復には程遠い現状を確認することになりました。しかし、先行きに関しては明るい見方も出てきているようです。

11月の米中古住宅販売成約指数は6カ月連続で低下し、統計史上2番目に低い水準に落ち込んだ。借り入れコスト上昇と経済見通しの不確実さを背景に、多くの潜在的な買い手が住宅市場から締め出された。  11月は北東部と中西部を中心に全米4地域全てで低下。前年同月比(季節調整前)では39%近く低下した。10月は前月比4.7%低下(速報値4.6%低下)に下方修正された。

  ただ、住宅ローン金利は今年付けた20年ぶり高水準からは低下している。

  統計発表元である全米不動産業者協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅ローン金利と住宅販売との間には、おおよそ2カ月の時間のずれがある」と発表文で指摘。「住宅ローン金利は12月、月間を通して低下しており、住宅購入は今後数カ月で必ず回復し経済成長に寄与するはずだ」と予想した。

引用:Bloombergより

このように不動産市場は低調な状態です。しかし、住宅ローン金利は低下してきており、その影響が出てくるまでもう少し時間がかかりそうです。そういう意味では年明けからは少しずつ不動産市場にも明るい兆しが出てくることが期待されます。

来年は強気の予想も出ている

まだ、今年の住宅建築株の厳しい状況を予見していたアナリストからは来年度について期待できるとの予想が聞こえてきました。

米住宅建設株は2023年も堅調を維持すると、キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、ケネス・ゼナー氏は確信している。同氏は住宅建設株の今年の厳しいスタートおよび最近数カ月の持ち直しを正確に予想していた。

  同セクターは来年にS&P500種株価指数よりも好調になると、ゼナー氏はみている。住宅建設株は今年の早い時期に市場全体よりも大きく下落したため、1960年代以降のパフォーマンス分析に基づくと、他セクターより早く回復すると同氏は予想する。ゼナー氏は今年の9月以降、住宅建設株に関してポジティブな見方をしている。1月時点では同セクターは「懸念の壁」に直面していると警告していた。

  「住宅建設株のパフォーマンスが相対的に市場全体を上回るであろうことにかつてないほど楽観的だ」と同氏はインタビューで発言。ブルームバーグがまとめたデータによれば、同氏はDRホートンやレナーなど自身がカバーする業界大手の少なくとも4銘柄の絶対リターンに関して、ウォール街ではトップクラスのアナリスト。

  ゼナー氏は住宅建設株と市場全般の過去数十年の動向を比較。1月時点の暗い見通しは、米金融引き締め局面での株価パフォーマンスを反映していた。9月に強気な見方に転じたのは、S&P500種と比較した同グループの株価動向に基づいていた。

引用:Bloombergより

このようにゼナー氏は来年度の住宅建築株については強気の見方をしています。今年の不動産市場の悲惨さにより株価は大きく下落しています。そういう意味では状況が好転すればその影響というのは大きく受けることになるでしょう。そういう意味では来年は住宅建築株を含め、不動産関連は期待できるのかもしれません。

先行きは依然不透明であり、注意は必要。

この予想が当たるのかどうかはわかりませんが、少なくとも現状の不動産市場はまだ堅調だとは言えないでしょう。しかし、住宅ローン金利が低下しているということは事実であり、それを考慮すれば今後は住宅販売が伸びるということは十分に予想できます。そういう意味では不動産市場が上向きに変わり、株価も上昇するという流れはあり得ないことでもなさそうです。もちろん期待したほど上昇しないという子はあるとは思いますが、少なくともこれまでのような悲惨な状態からは抜け出してくるのではないかとは思っています。

まとめ

今日は米国の不動産市場についてみてきました。まだまだ低迷しているところですが、先行きに関して言えばそこまで悲観することもないのかなという印象です。特に住宅ローン金利が低下しているということは事実ですので、これまでよりも悪化する可能性は少ないのかなという印象です。しかし、政策金利も引き上げは終わったとしても下がってくるにはまだ時間はかかると思われるのでそこまで期待したほど不動産市場も回復しない可能性も十分にあるでしょう。その辺は注意が必要かなという感じです。