新規失業保険申請件数は相変わらずの低水準

今年最後となる新規失業保険申請件数の発表がありました。今回も非常に低水準を維持しており、労働市場はいまだに堅調さを保っていることがわかりました。インフレが進行して随分と立ちますが、正直ここまで労働市場の力強さが続くと予想した人はいるでしょうか?本当に驚愕させられるニュースです。労働者にとっては雇用が安定しているというのはとても良いことですが、それではインフレが収まるということはなかなか難しく、FRBにとっては非常に頭の痛い問題なのではないかと思います。強いインフレと強い労働市場というのは今年一年を象徴するようなものだなと感じます。

新規失業保険申請件数は相変わらずの低水準

先週一週間の新規失業保険申請件数はこれまで通り力強いものであり、歴史的に見て非常に低い水準を引き続き維持していました。

先週の米新規失業保険申請件数は前週から増加したが、なお歴史的低水準付近にとどまった。需要鈍化を目指した米金融当局の積極的な政策をよそに、労働市場が底堅さを維持していることが浮き彫りとなった。

  クリスマスなど主要な祝日の前後は季節調整が特に困難になる。より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は、ほぼ変わらずの22万1000件。

  米金融当局は今年、インフレ鈍化を目指し積極的な利上げを続けてきた。借り入れコストの上昇は住宅市場など経済の一部分野に影響を与えているが、労働市場は1年を通じ総じて堅調さを維持している。

  これは労働市場における需給の不均衡が根強く続いていることも背景にある。金融やテクノロジーといったホワイトカラーの業界ではこのところレイオフが広がっているが、娯楽・ホスピタリティーなどではなお空きポジションを埋めるのに苦慮している。

  季節調整前の失業保険申請件数は27万1590件に増加。ミズーリ州とケンタッキー州で増加が目立った。

引用:Bloombergより

このように米国の労働市場は堅調です。企業業績の悪化が目立ち始め、株価の下落しだしたころから労働市場もいつかは落ち着いてくるだろうと思っていましたが、結局年内にその現象が起きることはありませんでした。改めて米国の労働市場の強さを実感させられる一年だったなという感じです。

この好調がいつまでも続いていくことはない

強い労働市場ですが、当然ながらこれがいつまでも続いていくこと言うことはないでしょう。企業も業績が悪化しているのにもかかわらず、いつまでも従業員に高い賃金を払っていくことはできません。いつかはこの好調な労働市場も鈍化してくるでしょう。事実、大手IT企業や金融機関などでは大規模な人員削減が行われるというニュースも聞こえてきています。そういう意味ではいずれ労働市場も悪化してきて、失業率も悪化するでしょう。なので今年の労働市場の結果を当たり前のことと考えず、特に来年になれば高確率で労働市場の悪化が起こることは頭に入れておく必要があると感じています。

来年は辛抱の一年となる

そして来年は成長率の大幅な低下も予想されています。今のところ米国の成長率予想は日本よりも低い予想です。これだけ見ても相当経済が悪いことがわかります。今のところ好調な労働市場がその悪い部分を見せないようにしているためあまり気づかれませんが、米国の経済は思っているほど大丈夫というわけではないのかなと思っています。なので来年度の株価というのはかなり悪くなる覚悟も必要でしょう。そういう意味では投資家としての強い信念が試されそうな一年かもしれません。

まとめ

今日は今年最後の新規失業保険申請件数についてみてきました。2022年の労働市場は結局好調なまま終わることになります。正直かなり予想外の結果で、ここまで強いとは思いませんでした。しかし、来年はさすがに減速してくるはずです。それに伴い経済も悪化し、株価もさえない展開となることでしょう。そういう意味では辛抱強く耐え忍ぶ一年と来年はなりそうな予感がします。まあ、結局のところどうなるかはわかりませんが、やることは一緒なのであまり難しいことは考えないようにしたいと思います。