インフレが落ち着いてきたように見えるがリセッションは回避できない?

インフレ抑制の気配を漂わせる経済指標が相次ぎ、金融政策もそろそろ編濾される可能性について考えられるようになってきましたが、それでもまだまだ楽観論は禁物というべきだと思います。落ち着いてきたとはいえインフレは健在であり、景気の先行きも非常に不透明です。今はやや落ち着いてきた感のあるマーケットですが、今後もこのような安定した展開となる可能性というのは高くはないのかなという印象です。

リセッションは不可避?

元財務長官のサマーズ氏はテレビ番組で今後の先行きに関してもこれまで通り、米国はリセッション入りの可能性が高いとみていると述べました。

サマーズ元米財務長官は13日、米経済は依然として年内のリセッション(景気後退)に直面しているとの考えを示した。過去数週間の前向きなニュースをよそに、自身の見方は変わっていないことを明らかにした。

  サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、「夜明け前の微光にぬか喜びしないよう注意しなくてはならない」と発言。「今年リセッションが起こる可能性は、起こらない可能性よりも高いとの見方を私は維持する」と述べた。

  前日に発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.5%上昇と、2021年10月以降で最も低い伸びとなり、インフレの鈍化が続いていることが示された。サマーズ氏は12月の収入の伸び減速など「賃金抑制」の兆候は、最近の「良いニュースの一部」だと指摘した。

  ハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもあるサマーズ氏は、米インフレを米金融当局の2%目標に押し下げるにはリセッションが必要になるとの予想をこれまで示してきた。

  インフレ抑制を目指す米当局の利上げは、今や終了に近づきつつあると同氏は予測。

  「現時点で利上げ停止について考えるのはやや早計だが、その日にかなり近づきつつある」と指摘。しかし現段階で「2月より後について明確な判断を示す必要はない」と話した。

引用:Bloombergより

サマーズ氏はこのように述べ、米国経済は依然としてリセッションの可能性が高く、楽観視はできないという旨を述べました。以前より米国経済に対して厳しい見方をしていた同氏ですが、インフレ鈍化の指標が相次ぐ中においてもそのスタンスは全く変わっていないようです。消費者物価の鈍化など一連の指標については良い結果だと素直に認めていますが、米国経済の問題は非常に重く、それだけではリセッション回避というのは難しいとみているということでしょう。

その可能性は十分にあるとは思う

サマーズ氏の意見が正しいのかどうかということは今後わかることだと思いますが、今言えることは一年後の経済状態がどうなっているかということはだれにもわからないということです。仮にサマーズ氏の意見が正しかったとしても何らかの原因のより予想以上に米国経済を上昇させるような事態が起こるかもしれませんし、逆に予想外に悪化し、過去にないような大恐慌に陥る可能性だってないとは言えません。経済というのは自然現象とは違い人間が操作するものであり、その動きには人間の意志が少なからず介在します。なので現状の判断が正しくとも、その理論が完ぺきであったとしても未来を完全に予想するということはまず不可能でしょう。なのでサマーズ氏の意見も数ある説の中の一つというくらいに思っておいていいのかなというところです。そうはいっても現状の米国経済がとても困難な状態であることは間違いなく、そこから抜け出すことが難しいということも確かでしょう。そういう意味ではやはりサマーズ氏の言う通り、リセッション入りする可能性は高いとみる方が自然なのかなという印象です。

まとめ

今日はサマーズ元財務長官の発言についてみてきました。サマーズ氏は以前より悲観的に米国経済を見ており、その見方はインフレ鈍化の指標を見ても変わっていないようです。個人的にはそこまで悲観的にならなくてもと思いますが、今のマーケットのような楽観論というのもなんか違うような気がします。現在のインフレから脱却し、経済を好循環に持っていくのはそんなに簡単なことではないでしょう。そういう意味ではサマーズ氏の意見にも共感する部分はあるということです。