新規失業保険申請件数の悪化はFRBにとって朗報となるか

昨日は住宅市場の悪化についてみてきましたが、雇用環境についても悪化してきているようです。先週の新規失業保険申請件数は市場の予想を上回る結果となり、景気悪化を受けた企業側の人員削減の動きが強まってきた可能性を示唆することとなりました。利上げをこれだけのペースで行っていることもあり、当然の結果といえばそうですが、労働者としては非常に厳しい状況となっているといっていいでしょう。そういう意味で今日は先日発表された新規失業保険申請件数についてみていきます。

雇用環境は悪化してきた

先週の新規失業保険申請件数は市場予想を上回り、労働市場が悪化してきたことを示唆する結果となりました。

16日終了週の米新規失業保険申請件数は前週比7000件増加し、25万1000件

エコノミスト予想の中央値は24万件

前週は24万4000件で、速報値から修正されず

9日終了週の失業保険の継続受給者数は5万1000人増加し、138万人

昨年11月以来の大幅増

米新規失業保険申請件数は3週連続で増加し、昨年11月以来の高水準となった。リセッション(景気後退)懸念の高まりを背景に人員削減を発表する企業が増える中、労働市場の幾分の軟化が示唆された。高インフレ抑制に取り組む米金融当局が大幅利上げに踏み切る中、失業保険申請件数の増加傾向は今後も続く可能性がある。世界経済の不透明感を受け、ここ数週間でアルファベット傘下のグーグルのほか、アップルやメタ・プラットフォームズ、マイクロソフトを含む多くのハイテク企業が採用の減速方針を明らかにしている。暗号資産(仮想通貨)や住宅、自動車など他の業界でも人員削減の動きがみられる。調整前ベースの新規失業保険申請件数は24万8991件に増加。州別ではマサチューセッツ州が1万4000件を超える増加となったほか、カリフォルニア、サウスカロライナ、ジョージア各州も増えた。より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均はわずかに増加して24万500件と、昨年12月以来の高水準となった。

引用:Bloombergより

このように失業保険の申請件数が増加傾向ということもあり、企業側が人員削減に動き出した可能性があります。最近はIT企業をはじめ、多くの企業で採用行動を抑制する動きのニュースをよく聞くようになってきています。それらのニュースとも整合し、雇用環境の悪化を指標でも裏付けるものといっていいと思います。現状の米国経済は良くはないですがいわれているほど悪いといった印象はありません。一時期は利上げについても100bpで行われるのではないかとか、急落が起こるのではないかとかかなり悲観的な話が出ていましたが、最近はそれも少し落ち着きを取り戻し、市場は冷静になってきていると思います。そういう意味では今回の指標の発表についても市場は冷静に受け止めるのではないかと思います。

次回の利上げは75bpでの利上げが有力

労働市場の悪化はFRBにとってはある意味朗報と言えるでしょう。インフレ抑制という観点で見ればある程度景気を冷やす必要があるため、今回の指標の悪化については肯定的に受け止めるのではないかと思います。そういう意味でもやはり次回のFOMCでの利上げは75bpでの利上げが有力でしょう。現状は100bpというのはやはりきびすぎると思いますし、冷静になった市場もそのように判断するでしょう。

まとめ

今回は新規失業保険申請件数についてみてきました。今回の指標の悪化というのはFRBにとってはある意味想定通りといった感じではないかと思います。そういう意味ではまあいい結果だったのかなと感じているところです。このままいけば次回FOMCでは75bpでの利上げが行われることになるでしょう。問題はそれで景気やインフレがどのようになっていくのかというところです。うまく景気を減速させることなくインフレを抑制できればいいのですが、なかなか難しいのではないかと思いますし、あまり大きな期待はしない方がいいでしょう。うまくいったらラッキー程度にしておこうと感じているところです。