テックセクターの悲観論を安易に受け入れるべきではない

昨日はジェレミー・グランサム氏の発言を紹介しました。非常に悲観的な論評で先行きに不安を覚えた人も多いでしょう。市場の多くの投資家はこの意見について賛成なのではないのかなと思います。だからこそ株式市場は連日下落を続けているのでしょう。しかし、どんな時でもすべての人が同じ意見を持っているということはありません。このような悲観論があふれる状況でも強気な意見を述べる人もいます。その一人がベア派エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏です。同氏は現在の、特にテックセクターの悲観的な意見に対して注意を促すようなことを述べています。今日はこの発言についてみていきたいと思います。

テックセクターだからといって一括りにしてはいけない

ローゼンバーグ氏はFinancial Postでテックセクターに対する行き過ぎた悲観論に対して注意を促しています。

「2021年の株式市場を表現する最善の言葉が『すべての船を持ち上げる上げ潮』だとしたら、2022年の期待リターンはバリュエーション正常化にともないもっとマチマチになる。(特に、金利上昇が続けばなおさらだ。)しかし、テクノロジー・セクターは金利上昇で悪影響を受けると過度に注目されている。」

引用:The Financial Pointer 永遠のベア デービッド・ローゼンバーグのテック推奨 より

同氏はこのように述べ、現在のテックセクターに対する悲観論はやや行き過ぎていて、すべてを一括りにするべきではないとしています。テックセクターでも高収益であったり割安であったりという銘柄であれば十分に投資する価値はあるとみているようです。一般的には金利上昇下ではハイテク銘柄よりは安定的なバリュー株の方がよいとされていますが、それだけでテックセクターを回避するのは良くないといっています。きちんとした銘柄分析が重要だということでしょう。これは確かにそのとおりであり、投資の基本中の基本だと思います。特に市場全体が上昇しているときであれば、少々いい加減な投資をしても失敗する確率は低いでしょう。しかし、これからはそのようなことをしては痛い目を見ることは明らかです。なのできちんとした銘柄選択が必要ですが、それさえしっかり行えばテックセクターでも投資する価値のある銘柄はあるというわけです。逆に金利上昇局面に強いセクターだからといって安易に飛びついてしまってはいけないのです。

テックセクターが将来有望であるのは間違いない

ローゼンバーグ氏は具体的に以下のセクターに注目しているようです。

  • システムソフトウェア: バリュエーションは高いが、高い利益率・利益成長に裏打ちされている。
  • ITコンサル・サービス、電子部品、EMS: 低い収益性・利益率が比較的低いバリュエーションの理由。

これらに当てはまる銘柄を探し出すというのはなかなか大変かもしれません。しかし、そういう銘柄を見つけることが出来さえすればテックセクターであっても問題ないというわけです。個人的にはなかなか大変な作業となりそうなのでやらないとは思いますが、興味のある人は調べてみても面白いかもしれません。特にこのセクターは成長著しい産業の一つです。グーグルやアマゾンといった企業が近い将来なくなるとは思えませんし、これからはドローンやAIなどがどんどん進化していくことはほぼ間違いありません。なので面白い投資先は結構あるのではないかと思います。そういう意味でも安易なテックセクター外しというのは良くないのかもしれません。ローゼンバーグ氏もおそらくはそのように思っているようで、以下のような発言もしています。

高収益で安定的な利益率を有し、合理的な価格がついた銘柄をスクリーニングしたい。サブセクターでは、最善の例は半導体製造装置、半導体、システムソフトウェアであり、金利が上昇する環境でも先行きに有利なポジションにあるように見える。

引用:The Financial Pointer 永遠のベア デービッド・ローゼンバーグのテック推奨 より

まとめ

今日は今日はデービッド・ローゼンバーグ氏の発言からテックセクターの投資についてみていきました。現在テックセクターに対する投資というのは非常に悲観的な空気が漂っています。しかし、同氏の言う通り、安易な結論は出すべきではないでしょう。きちんとした分析を行ったうえで的確な行動をとるべきです。おそらくはこれからテックセクターは今まで大きく上昇してきた分、市場よりも大きく下げることが予想されます。そういう意味では優良銘柄を安値で買うチャンスが来る可能性も高いと思います。なので、こういう時こそ周りに流されずに冷静に対応したいものです。