依然として高い米国の消費者物価はFRBの政策に影響を与えるのかが注目される

先週の10日、注目の米国の消費者物価の発表がありました。結果としてはおおむね市場予想通りであり、大きなサプライズはありませんでしたが、依然としてインフレが高止まりしていることが確認された形となります。今後についてもウクライナ情勢が依然不安定なこともあり、商品価格の上昇は十分に考えられるところです。そういう意味でも将来に対する不安はまだまだ拭い去ることはできない状況です。そういうわけで今日は先日発表された米国の消費者物価についてみていきたいと思います。

2月の米国の消費者物価は市場の予想通り

先週発表された米国の2月の消費者物価は以下のようになりました。

  • 結果:7.9%
  • 予想:7.9%
  • 前回:7.5%

このように米国の消費者物価は7.9%と非常に高いものとなり、依然としてインフレが継続していることが改めて裏付けられることとなりました。この数字は市場の予想通りではありましたが、この強い消費者物価によってFRBの政策がよりタカ派になるとの思惑もあり、株価は大きく下げることとなります。

ウクライナ情勢をうけ、いったん引き締めを緩めようとしたFRB

ロシアによるウクライナ侵攻によってFRBのパウエル議長は利上げに対する姿勢をタカ派から一転してやや緩めるような姿勢を見せてきました。先日の議会証言では3月の利上げ幅は0.25bpが望ましいという発言をしました。そのため市場では0.5bpまで織り込んでいた金利予想が若干修正されていたのです。しかし、今回の非常に強い消費者物価の伸びを受け、またFRBの姿勢がタカ派になると市場は警戒したものとみられます。

今回の消費者物価はFRBの政策をまたタカ派へと導くのか

今回の発表を受け、来週のFOMCでの利上げの幅はますますわからなくなったのではないかと思います。消費者物価の発表前まではロシアのウクライナ侵攻をうけて利上げの幅は若干緩やかになるとの意見が多かったように思います。実際パウエル議長もそのような発言を議会でしており、いったん0.5bpの利上げを織り込んでいた市場は修正を余儀なくされていました。しかし今回の発表を受け、市場ではまたFRBがタカ派になるのではないかという意見も多く出てきました。当然それについてFRBからの発表は何もありません。なのでFRBが今どのような思いでいるのかは想像するしかありませんが、何とも確信を持って言えないというのが正直なところです。

やはりウクライナ情勢よりもインフレが重要

個人的な意見としてはやはり利上げは積極的に行っていくべきなのかなと最近は思っています。確かにウクライナ情勢による景気への悪影響というのは非常に懸念されることであり、注視していかなければなりません。しかし、それがあろうとなかろうと、非常に高くなったインフレをどうにかしないといけないということは変わらないでしょう。そうでなければ問題の先送りをするだけで、結局はのちの大恐慌を招く結果となってしまうと思います。歴史を見ればボルガーショックなど同じような経験を人類はしています。そういう意味では同じ過ちを繰り返さないためにも今は厳しい姿勢で臨まないといけないような気はしています。

まとめ

今日は先週の米国の消費者物価の発表を受けた今後について考えてみました。米国は依然としてインフレが厳しい状況であるということは変わりないことが確認されました。そのためFRBはより厳しい姿勢で臨まなければ、いずれ経済の大失速を招く結果となってしまうかもしれません。しかし、ウクライナ情勢という非常に不安要素を抱え、FRBも厳しいかじ取りを強いられることになるでしょう。しかし、現状FRBがどのような認識を持っているのかというのはわかりません。議会証言の時までは引き締め政策は少し緩めるつもりだったとは思いますが、もしかしたら今回の消費者物価の発表を受け、政策を変更するかもしれません。そうであればFOMC後には株価が大きく動く可能性も十分に考えられます。そういう意味でも来週のFOMCには非常に注目が集まります。