5月の消費者物価は予想がの伸び。インフレは依然強いことが証明された。

10日、注目されていた5月の消費者物価の数字が発表されました。結果は予想に反して強い結果であり、インフレがピークを打ったのではないかという予想は完全に否定された形となりました。よってFRBは今後、想定よりも厳しい姿勢でインフレに臨んでいく可能性があり、株式市場としては下落圧力が高まる形となりました。そういうわけで今日は5月の消費者物価についてみていきたいと思います。

5月の消費者物価は予想外の伸びを見せる

10日米労働省が発表した5月の消費者物価指数は前年同月比で8.6%の上昇と市場予想を大きく上回る結果となりました。

  • 総合CPIは前年同月比8.6%上昇-前月は8.3%上昇
  • ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は8.3%上昇
  • 前月比では1%上昇(市場予想は0.7%上昇)
  • 変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比6%上昇-前月は6.2%上昇
  • 予想中央値は5.9%上昇
  • 前月比では0.6%上昇

引用:Bloombergより

先月の消費者物価は若干伸びが鈍化傾向になったこともあり、インフレもようやくピークに達したのではないかという観測も出てきていましたが、今回の発表によってその期待は残念ながら打ち砕かれた格好となりました。

今回の統計は、インフレがピークに達して落ち着き始めているとの希望的観測を打ち砕いた。記録的な高値で推移するガソリン価格に加え、食品と住居費の上昇にも衰えが見えず、消費者の生活は強く圧迫されている。米金融当局は経済に一段と強いブレーキをかけることを余儀なくされ、そうなると景気後退(リセッション)のリスクも高まる。実際、一部のエコノミストは米経済が来年にリセッション入りする公算は大きいとみている。

引用:Bloombergより

このように今回の消費者物価の結果により、米国経済がリセッション入りする可能性はかなり高くなったといわざるを得ないでしょう。FRBは今やインフレ抑制にのみ関心が移っているといっていいような状況です。少々の景気後退は仕方ないと思っている節があります。よほど想定外の事態が起これば話は別ですが、この程度の状況ではインフレ抑制の手を緩めることはまずないでしょう。そういう意味では今回の発表を受けてFRBはより厳しい金融引き締めに出てくる可能性が高く、今後は米国経済はかなり冷え込む可能性が高くなったといっていいと思います。

消費者信頼感指数も過去最低

さらに同日に発表された 米ミシガン大学の6月の消費者信頼感指数(速報値)は過去最低となり、米国消費者のマインドは大きく低下していることもわかりました。

 米ミシガン大学が10日発表した6月の消費者信頼感指数(速報値)は50.2と、過去最低を更新した。ガソリン価格が過去最高水準に上昇する中インフレ懸念が高まったことで、5月確報値の58.4から低下したほか、予想の58.0も大きく下回った。

引用:ロイターより

米国では労働市場が好調ということもあり、賃金は日本とは比べ物にならないくらい伸びてはいますが、8%を超える物価上昇に追いつくほどにはさすがになっていません。なので実質賃金はどんどん低下しており、消費者にとっては苦しい状況が続いていることが分かります。それを裏付けるような結果が今回の発表なのではないかと思います。今のところは何とか持ってはいますが、この状態が今後も持続可能ではないことは明白です。そう遠くない将来に破綻する可能性が高いでしょう。そういう意味でも米国経済は非常に危うい状態であるといわざるを得ないといった感じです。

まとめ

今日は10日に発表された5月の消費者物価についてみてきました。予想に反して高い伸びを見せており、依然インフレは落ち着く気配がないということが分かりました。今月のFOMCではおそらくは50bpの利上げはほぼ確実だとは思いますが、今後はもしかしたら75bpでの利上げという可能性も十分出てきたのではないかと思います。そういう意味では非常に難しいかじ取りをFRBはしなければならず、景気後退をせずにインフレを抑制するというのはかなり困難な状況だといえるのではないでしょうか。そういう意味では今後しばらくは株式市場も厳しい展開が続いていくかもしれません。そのことは十分に考慮しておくべきでしょう。