悲観論ばかりの米国株式の楽観論を見てみる

最近は米国株について非常に弱気な見方が支配的になっています。しかし、そんな中でも明るい可能性について見解を述べる人もちらほらいます。個人的にはまだまだ順調な景気回復というのは先だと思いますが、そういった可能性についてもしっかり見ておく必要はあると思います。そういうわけで今日は今後の米国株式市場の見通しについて考えてみます。

9月にはFRBの姿勢が変化する?

先日、Bloombergの記事に今後のFRBの金融政策についての記事が掲載されていました。そこには9月には金融引き締めの姿勢が緩むのではないかというものが載せられていました。

大荒れの米株式相場に落ち着きをもたらすのは、わずか数回先の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合になるかもしれない-。クリスティーナ・フーパー氏らインベスコのストラテジストがこうしたシナリオを示した。同ストラテジストらは、米金融当局が9月に積極的な金融引き締めスタンスをやや弱める方向に方針転換する可能性があるとの見方を示した。インベスコでチーフグローバル市場ストラテジストを務めるフーパー氏は4日のブルームバーグラジオとのインタビューで、「それは米国株にとって本物の原動力になり得る」と指摘。インフレ期待が十分安定しているなどすれば、米金融当局は第4四半期(10-12月)にタカ派姿勢をやや弱めることが可能だと続けた。

引用:Bloombergより

このように9月にはFRBの引き締めが弱くなるという可能性についても考える動きが出てきたようです。しかし、記事の中にもあるように、そうなるにはインフレが少なくとも安定する必要があり、今のように上昇を続けているようであればなかなか厳しいといわざるを得ないでしょう。インフレが落ち着いてくれば金融政策にも変化が出てくるというのはある意味当たり前といえば当たり前なので、今更言わなくてもという気もしないでもありません。しかし、過度に悲観的になっている人にとって改めて冷静になってもらうにはちょうどいい記事なのかなと思います。

ゴールドマンサックスもリセッションがメインシナリオではない

多くの金融機関が今後の見通しについて悲観的になっていますが、ゴールドマンサックスはそこまで悲観的にはなっていないようです。ゴールドマンサックスは今後の見通しについてリセッション入りがメインシナリオではないといっています。

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、同行が見込む米経済の基本シナリオはリセッション(景気後退)ではないと明言した。ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのグローバル債券マクロストラテジスト、ガープリート・ギル氏は4日、ブルームバーグテレビジョンに対し、金融政策の引き締めは続く公算が大きく、定義上のリセッション入りはあるかもしれないと発言。通常、実質国内総生産(GDP)が2四半期連続で縮小するとリセッションと定義されている。「だが、投資環境や債券セクターへの投資機会を考える上で実際に重要なのは、リセッションの規模や性質といったようなものだ」とギル氏は述べた。

引用:Bloombergより

ゴールドマンサックスはこのように述べ、必ずしも景気後退局面に陥るとは思っていないとのことです。通常定義される二四半期連続で縮小というものは起こるかもしれないので、リセッションといわれてしまうかもしれないが、実際にはそこまで大きく景気が後退していかないとみているのでしょう。正直この辺りについては何とも言えないところです。ただ、ゴールドマンサックスほどの企業がリセッションをしないといえるのだからそれなりの自信はあるのだろうとは思います。そこまで個人的には自信は持てないかなと思いますが。

年末にはS&P500が40%上昇する?

さらにもっと強気な予想をする人もいます。なんとS&P500が年末までに40%の上昇をするといっているのです。

S&P500種株価指数がさらに20%下げると予想する弱気派もいれば、既に最悪期を脱したと説く強気派もいる。そうした中、オッペンハイマーのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は、S&P500種の年末水準を5330とした1月時点の予想を維持する。同指数が21日の上昇後もさらに40%程度上げるとみていることになる。ストルツファス氏は20日の電話取材に対し、「われわれはリセッション(景気後退)に陥るとは考えておらず、それを回避できると予想している」と説明。「楽な時期ではないが、現在の米連邦準備制度がそれに非常にうまく対応できるとわれわれは考える。甚大な金融危機に対応した経験があるためだ」と語った。「私が最も強調したいのは、経済を軌道に戻す連邦準備制度の取り組みが失敗するとの予想から、S&P500種が2008年12月31日から09年3月までに25%下げたことだ」と同氏は指摘。「実際には3月9日からその年の終わりまでに64%上昇した。その半分の上昇でもわれわれの5330のターゲットに近づく」と語った。

引用:Bloombergより

40%の上昇というのはすごいなとは思いますが、一応根拠はあるようです。過去に1-3月期に25%の下落があった年の年末にはなんと株価は64%上昇したということがあったようです。確かにそれは事実のようで、その当時のような状況になればそれは起こりうるのでしょう。ただ、今回もそのようになるのかはわかりません。あくまで可能性があるということです。

まとめ

今日は米国株式市場についての楽観的な予想についてみてきました。最近は悲観的な話ばかりが目に付くために、気がめいっている人も多いのではないかと思います。そういう意味では今回の記事は気休め程度にはなったのかなとは思います。今回の予想についてはあくまで予想であり、そのようになると決まっているわけではありません。そこは十分に注意するべきでしょう。未来がどのようになるのかは誰にもわかりません。悲観論も楽観論もあらゆる意見を総合的に判断していくべきです。そして何が起きてもいいようにしっかりと準備をしておくべきでしょう。