円安により3月期は最高益を更新。悪い円安はどこに行ったのか。

最近は急激な円安の進行にともない、その悪影響というものが言われるようになりました。確かに多くの物資を輸入に頼っている日本にとって円が安くなるということは輸入物価が上昇することになるため影響があることは間違いないでしょう。しかし、それは何もデメリットばかりではなく、当然メリットもあります。輸出品は高く売れるようになりますし、外国人観光客にとっては非常に日本に来やすくなります。なので両面についてきちんと考える必要があるのでしょう。そんなことを考えるのにちょうどいいニュースがあったので今日はそれを見ていきたいと思います。

円安の恩恵をうけ企業は最高益をたたき出す

円安の悪影響が非常に蔓延してきていますが、その円安の恩恵を非常に受けているというニュースが発表されました。上場企業の3月期決算が円安の影響を受けて最高益を出しているというのです。

国内企業が円安などを背景に利益をふくらませている。上場企業全体の2022年3月期決算の推計によると、最終的なもうけを示す純利益は前年比35・6%増の33・5兆円となり、過去最高を更新する見通しだ。今後はもうけを設備投資や従業員の賃上げにまわし、経済の好循環につなげられるかどうかが焦点となる。

 株式市場の区分けが変わる前の東証1部に上場する1323社(金融を除く)について、SMBC日興証券が集計した。11日までに決算発表した577社(全体の43・6%)の結果と、未発表企業の業績予想などをもとに試算した。

 売上高は前年比7・9%増の500・4兆円、本業のもうけを示す営業利益は44・8%増の37・2兆円となる見込みだ。純利益は過去最高だった18年3月期の約30兆円を上回りそうだ。

引用:朝日新聞デジタルより

このように上場企業の3月期の利益は過去最高となり、今のところ日本企業全体としては非常に好調な状況であるということが分かりました。円安が大変だと連日のごとく報道されていますが、このことはどのように説明するつもりなのでしょう?これも悪いことだというつもりなのでしょうか?さすがにそこまでは言わないとは思いますが、少なくとも円安が悪いことばかりではないというには十分な証拠となるでしょう。

バランスが重要

このように為替というものはどちらかに振れればよいというものではありません。安くなろうが高くなろうが必ずメリットとデメリットが存在します。要はそのバランスが大切なのです。円安に行ったからよいとか円高に行けばよいというような単純な話ではないというだけです。確かに今の日本は以前のように日本国内で物を作って海外へ商品を輸出するというビジネスモデルではなくなっています。この30年、日本も含め世界の経済状況というのは大きく変わっていますし、それに合わせて日本企業も変わってきました。なので今までのようなとりあえず円安に行けばそれでよいという国ではなくなったのでしょう。事実、円安になったからといって今は株価もあまり大きくは反応しません。以前よりも連動性は低くなっています。なので円安がメリットになりづらくなったということは間違いありませんが、何もまったくなくなったということはありません。今でも輸出企業というのは多く存在しますし、円安で恩恵を受ける状況というものも存在します。私も外貨建ての株式からの配当などは円安の影響で非常に増えているのでその効果はとても大きいと感じています。このように為替はいろいろな側面があるのでそんなに単純な話ではないのです。

まとめ

今日は最近の円安の影響について考えてきました。日本の社会構造をはじめビジネスモデルはこの数十年で大きく変わってきました。なので以前ほど円安の恩恵を受けないというのは間違いないでしょう。ですがそんなに単純な話ではなく、為替というものはどちらかに振れればいいというものではありません。バランスが大切なのです。そういう意味ではあまり極端なことを考えるのではなく、きちんと大局的に見ていく必要があるのだと思います。少なくとも今のところ、企業は最高益を上げているのですからいまの水準というのは日本という国にとって壊滅的な影響を与えるようなものではないことは間違いないのではないかと思います。