MSCI採用銘柄から見る日本の影響力低下

  • 2021年12月12日
  • 2021年12月12日
  • 日本株

最近は本当に日本の影響力が低下しているなと思うことが多くなってきています。先週の話になりますが、MSCIの株価構成指数における日本株の採用銘柄が新規採用が2銘柄、除外が15銘柄と二けたを超える減少となった。二けた減少はこれで3回連続で、国際市場における日本株の影響力低下を裏付けるような結果となっています。大変厳しい現実を突きつけられましたが、これが今の日本なのだと真摯に受け止め頑張っていかなければなりません。ということで今日はMSCIの指数から現在の日本について考えていきたいと思います。

MSCI指数とは

MSCI(Morgan Stanley Capital International=モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出している指数の総称。世界の主要国の株式市場を対象とした「MSCIワールド・インデックス(世界株価指数)」のほか、日本を除く先進国の銘柄で構成する「MSCIコクサイ・インデックス」など地域別や業種別など多数の指数を算出しています。これらの指数は、ファンドのベンチマークとして世界的に利用されているほか、多くの株価指数連動型上場投資信託(ETF)が上場しています。

引用:三井住友DSアセットマネジメント株式会社 ホームページより

MSCI指数はモルガンスタンレーが算出している指数で、多くのファンドやETFのベンチマークとして利用されているものです。なのでこの指数に採用されると多くのファンドなどからの資金が流入することになるので該当銘柄はもちろんのこと、株式市場にとっても売買が活発になるため、さらに投資家からの注目を集めるなどよい循環が起こってきます。逆に指数から除外されてしまうと、ファンドなどは当該銘柄を売却するので株価は下落圧力を受けることとなり、市場からも資金が流出することになるので売買が低調になり、市場の厚みがなくなってきてしまいます。このように、MSCIに採用されるかどうかというのは当該銘柄だけの話ではなく、市場としての魅力にもつながってくる話なので、採用されるかされないのかというのは大変重要な問題となるのです。

3回連続の二けた減

そのMSCIですが、採用銘柄に入れ替えは年に2回行われます。そして11月に発表された入れ替えでは採用2銘柄、除外15銘柄と差し引き-13銘柄となりました。これは3回連続での二けた減となりました。二けたの減少というのはとても多い数字で、今回の直近3回を除けば前回の二けた減というのは東日本大震災時の11年5月以来ということになるのです。

Bloomberg より

上図のように東日本大震災以降は採用銘柄については大きな変化はありませんでした。しかし、新型コロナウィルスパンデミックの影響によって、経済が打撃を受けたせいもあり、非常に多くの銘柄除外を受けてしまったのです。

同じ過ちを繰り返す日本

ただ、新型コロナウィルスパンデミックの影響は当然日本だけではありません。むしろ世界の方が大きな影響を受けていますが、なぜか経済では日本は大ダメージを受けてしまっています。これはリーマンショックの時も同様で、日本は比較的それ自体の被害は軽かったのですが、そこからの回復が非常に遅く、世界から大きく後れを取るということが起きました。今回も同じような現象が起きています。明らかに政策のミスとしか思えません。このままいけばさらなる日本の影響力低下は避けられないでしょう。

まとめ

今日はMSCI指数から見た日本の現状についてみてきました。ここまで急激に採用銘柄が減るということは大変大きな問題だと思います。この1~2年でかなりの資金が日本から流出したと思われます。市場から資金が流出すれば企業は資金調達がしづらくなります。そうなれば事業に影響は避けられないでしょう。その結果株価にも冴えなくなり、投資家も離れていくかもしれません。そうなればまたさらに資金が流出してしまうという負のスパイラルに入ってしまいます。これを防ぐには投資対象である企業がより魅力的なものになるというのは当然ですが、株式市場などの投資環境の根本的な改善策が必要でしょう。しかし、そのような声は全く聞こえてきません。先日の所信表明演説でも岸田政権はこの問題について全く触れていませんし、市場活性化や経済成長について積極的だとはとても思えませんでした。やはり分配重視でどこの全体主義国家なのかと思います。このままでは本当に日本は2流国家となってしまうでしょう。最近の米国株の割高感から割安な日本株について興味を持ってきたところなんですが、このようなことでは正直投資しようとは思えません。何とか市場活性化に向けた政策をしてもらいたいところですがあまり期待ができないのが現状です。