今年最後に岸田政権がやったことをまとめてみた

今日で2021年も終わりとなります。今年も新型コロナに翻弄され続けた一年でしたが、ワクチンの開発や治療薬の登場など少しずつですが明るい兆しも見えてきました。来年こそは新たな飛躍の年にしたいと思うところですが、どうでしょうか。日本についてみてみると今年は新たな政権が誕生し、いろいろと政策を打ってきましたがあまり株式市場としてはぱっとしない一年だったように思えます。なんでだろうかと調べてみると、そりゃあ株価は上がらないだろうなということをいくつも行ってきたことが分かりました。当ブログでも何回か言及してきましたが、ここでは改めで今年岸田政権が株式市場に対して行ってきたことを振り返ってみたいと思います。

自社株買い規制

Bloomberg.com

岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会で、企業の自社株買いに関連してガイドラインを作る可能性に言及した。企業が投資家から資…

岸田首相は12月14日の衆院予算委員会で企業の自社株買いを規制する可能性について言及しました。これは自社株買い制限の検討を求めた立憲民主党の落合貴之氏の質問に答弁したものです。これは企業が上げた利益を株主ばかりに還元するのではなく、賃上げや設備投資などにもっと使うべきだという趣旨です。これに対して首相は規制するという直接的な発言はしていませんが、重要なポイントであるという認識を示し、株式市場が大きく反応することになりました。岸田首相の発言を見る限り、規制を強化しなければならないとは言っていないように思います。重要なポイントだとは言っていますが、画一的に規制するということには慎重のようです。なのでやや過剰反応かなとは思いますが、少なくとも否定はしていませんし、株式市場というのは憶測で行き過ぎた反応をするということはしょっちゅうあるのでまあそんなもんだろうという感じです。この発言について批判的な意見が投資家を中心に多く出ています。私も強い規制をすることには反対ですが、あまり企業がきちんとした対応をしないのであれば、岸田首相の言う通り、規制ではなくガイドライン的なものを提示するくらいはしてもいいのかなとは思います。企業の中には自社株買いを借金をしてまでしているところがあるそうです。利益の一部で自社株買いをするのであれば問題ないと思いますが、株価維持のために無理な自社株買いをするのであればそこは問題だろうと思います。企業側もそのようなことはしないよう努力をし、また株主も無理な自社株買いなどを行っていないかのチェックをしなければいけないのかもしれません。そうでなければそれこそ政府が規制を強化しようという動きに出てきてしまうでしょう。自社株買い自体を規制するということは個人的にはいいことではないと思います。利益をもっと労働者に還元せよという気持ちはわかりますが、それは規制強化によってではなく、企業が自主的にそうしようと思えるような環境を作ることが政治家の仕事だと思います。日本は自由主義の国です。全体主義国家のように国の規制によって縛るのではなく、国民の自由な発想と競争によって成長していく国にするべきです。

賃上げの要請

Reuters Japan

岸田文雄首相は21日の記者会見で、国交正常化50周年を迎える日中関係に関し、首脳会談は現時点予定されていないと述べた。エ…

賃上げの要請は安倍政権時代から続くものであり、もう恒例行事のようになってきました。確かに企業は賃上げを拒み続けています。30年ものデフレの一因が賃金が全く上がっていないことによるものであることは間違いありません。なのでしょうがない部分もありますが、こういうことはあまり賛成できません。自社株買いのところでも言いましたが、こういうことは企業が自主的に行うことが重要です。誰かに言われて仕方なくやるようではダメなのです。きちんと企業が生産性を上げ、価格競争力のある商品を生み出し、多くの賃金を支払えるようにならなければならないのです。そのための環境整備を国はするべきです。そうでなければこの国際競争の激しい現在、日本という国は勝ち残っていけないでしょう。そのための改革をするべきだと思います。そうすれば賃金は自然と上がっていくのではないでしょうか。

各種節税政策を縮小・廃止

日本経済新聞

家計にかかる税負担が来年からじわりと増えそうだ。与党がまとめた2022年度税制改正大綱によると、住宅ローン控除の控除率や…

2022年度税制改正大綱によると、多くの減税策が縮小・廃止されそうです。以下の図がそれをまとめたものです。

引用:日本経済新聞 家計に税負担じわり 住宅や配当、節税余地狭まる より

これを見てみると住宅ローン控除など多くの優遇措置が縮小されることが分かります。その中で投資家としては株式配当などの課税が気になるところです。今までは所得税と住民税で課税方式を別々にすることができ、その結果税率を最大5%まで下げることができました。しかし、今回の改正でそのようなことはできなくなり、実質的な増税となります。なのでこの方法で節税をしていた人にとっては大きな痛手となるでしょう。個人的には配当控除はあまり使ったことがないのでそんなに関係ないかなという印象です。損益通算をしようと思えば必ず分離課税にしなければいけないし、その時は配当控除は使えません。大抵一年あれば損失を出す売買というのはある程度出てきますし、損益通算をしないということはまずないと思います。なので、今回の改正については個人的にはそこまで辛いという印象はありません。しかし譲渡益がなく、配当のみをもらっている人にとっては非常に痛いものでしょう。しかも、課税所得が900万円を超えるようだと税率が30%を超えるようになるかもしれません。まあ、そこまで課税所得があるのであれば問題ないような気もしますが、少なくとも株式市場にとっていいニュースではありません。

引用:日本経済新聞 家計に税負担じわり 住宅や配当、節税余地狭まる より

金融所得増税

「静かなる金融所得増税」が行われる 2021年12月13日 | 大和総研 | 是枝 俊悟

2021年12月10日に自由民主党・公明党は「令和4年度税制改正大綱」(以下、大綱)を取りまとめた。証券・金融税制関連で…

これは配当課税と似たようなものですが、富裕層の配当については分離課税ではなく総合課税にしようというものです。富裕層の中には所得を給与などの総合課税対象の所得ではなく、配当などの分離課税対象の所得として支払うようにしている人がいます。総合課税では累進課税制度を採用しているため、税率が最大で55%となりますが、分離課税だと20%です。なので大きな節税ができるということです。この部分を変更しようとしています。つまり、富裕層の配当所得に関しては総合課税の対象にしようというのです。私のような個人投資家にとっては何の影響もないものです。なのでやってもらっても構わないのですが、富裕層の人たちからは不満が出るでしょう。これがどのくらい株式市場に影響が出るのかは何とも言えないところですが、株価が上昇するとは思えません。

まとめ

今回述べたものは今年岸田政権になって発表されたものです。いずれにせよ投資家、株式市場にとっては厳しいものです。日本株は今年も海外市場に比べ、冴えない動きが続きましたが、その一因が政権の政策であることは否定できないような気がします。ある程度の規制や富裕層への課税などは必要でしょうが、やり方を間違えると誰も得をしないような気がします。特にここまで規制を厳しくし、株主に対して冷遇するようなことをしていたら海外からはどのように見られるでしょうか。今、日本市場を動かしているのは主に海外投資家です。海外投資家が離れていけば日本市場というのはどんどん寂れていってしまうでしょう。そうなれば一段と日本の競争力の低下を招くことになります。なので、もう少しやり方を考えてもらいたいものです。岸田首相は分配を重視しています。確かに大事だとは思いますが、その前に成長が大事なのです。成長しなければいくら分配をしても皆が等しく貧しくなるだけです。きちんと成長できるように自由な経済活動ができるように環境を整え、生産性を向上できるような政策を期待したいところですが、なかなか難しいように思えます。岸田政権がやっていることは自由や民主主義というよりも、社会主義のような全体主義的なものが多いように思います。新しい資本主義といっていますが、新しい社会主義の間違いではないでしょうか。来年の参議院選挙が終われば約3年ほど大きな選挙はなくなります。選挙に勝てば国民から批判されるようなことでも思い切ってできるようになるでしょう。そうなったとき、金融所得課税強化などの増税策は一気に動き出すと思います。そうならないように願いますが今の状況では厳しそうです。