日銀短観が予想通り悪かったが、意外な事実がわかった。

4月1日、市場が注目している日銀短観の発表がありました。ウクライナ情勢の影響やインフレ、新型コロナによる経済活動の自粛などもあり、結果としてはやはり悪化ということになりました。日本は現状では世界に比べればインフレもそれほどひどくはなく、比較的恵まれている方だとは思いますが、それでも先行きに対しては非常に悲観的にならざるを得ません。そのことをきちんと踏まえて政府には経済対策をしてほしいところですし、我々もきちんと自己防衛をしなければいけないでしょう。そういうわけで今日は先日発表された日銀短観についてみていきたいと思います。

日銀短観とは

日銀短観とは日銀が全国の約一万社の企業に対して行う調査のことで、四半期ごとに行われています。

短観(「タンカン」と読みます)は、正式名称を「全国企業短期経済観測調査」といいます。統計法に基づいて日本銀行が行う統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としています。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施しています。

引用:日銀ホームページより

その中でも業況判断指数(DI)が非常に注目されており、簡単に説明すると、景気が良いという企業から悪いという企業を引いたものであらわされています。よってDIがプラスであれば景気が良いと感じている企業が多いということになり、逆にマイナスになれば景気が悪いと感じている企業が多いということになります。

今回の結果

今回の短観では以下のようになりました。

  • 大企業・製造業 14(-3)
  • 大企業・非製造業 9(-1)
  • 中堅企業・製造業 3(-3)
  • 中堅企業・非製造業 0(-2)
  • 中小企業・製造業 -4(-3)
  • 中小企業・非製造業 -6(-3)

このように、すべての企業において前回調査よりも景況感が悪化しており、非常に厳しい状況であることが分かります。特に中小企業はDIがマイナスとなっており、大企業よりもより厳しい状況に陥っています。今回の調査は2月24日~3月31日に行われており、ウクライナ情勢による商品価格の上昇をもろに受けた形となります。そのためにこのような厳しい結果となったのであろうと思われます。

想定為替レートが予想以上に円高に設定されている

今回の発表の中で注目されるものの一つが想定為替レートです。現在、為替市場では円安が進んでいます。一時は125円まで円安が進んでおり、今の日銀やFRBの金融政策を考えれば、さらに円安が進む可能性も十分に考えられます。しかし、今回の短観では企業の想定為替レートは111円93銭であることが分かりました。これは日本の企業が現在の円安は一時的なものであり、111円程度に落ち着くとみているのです。個人的にこの数字には驚きました。現在の日銀やFRBの金融政策を考えると、今後その付近まで円高が進むとはとても思えません。もし、このまま円安が進んだとすると、輸出企業などの円安の恩恵を受ける企業はいいかもしれませんが、海外から商品を輸入している企業はかなり厳しい結果となるのではないかと思います。そういう意味でも特に内需関連の企業については業績予想の未達ということが結構出てくるのではないかと思います。

まとめ

今日は先日発表された日銀短観についてみてきました。結果としてはまあ予想通りといった感じです。今の世界情勢や経済状況を考えれば結果がよくないということはだれでも予想できたのではないでしょうか。ただ、心配なのはやはり想定為替レートについてです。さすがに111円というのはかなり厳しい数字ではないでしょうか。現状を見る限り、とても今後円高が進むとは思えません。私の予想が外れればいいのですが、もしその通りになった場合、内需関連企業など円安が悪影響を与える業種に関しては相当厳しい結果になることが予想されます。そういう意味でも今後は為替相場に特に注意した方がいいかもしれません。