私はFIREしないぞという信念がまた強固になった

世間ではFIREという言葉が最近は流行っています。会社など煩わしいものに拘束されず、自由に人生を生きていくために早期にリタイヤしようというものです。非常に夢のある話ですが、本当に可能なのでしょうか。多くのFIREを目指す人たちがよりどころにしている理論が一つあって、いわゆる「4%ルール」というものです。簡単に言うと年間の支出を総資産の4%に抑えることができればリタイヤすることができるというものです。この理論によって目標が明確になり、FIREを目指しやすくなったのではないかと思っています。しかし、本当に問題はないのでしょうか。個人的には非常に疑問を持っていて、その疑問をさらに裏付けるような記事を読んだので、今日はその話をしたいと思います。

4%ルールとは

「4%ルール」とは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえる、という考え方です。※25倍とは…「投資元本(100%)÷支出(4%)」の計算が根拠。つまりは、1年間の生活費を総資金の4%以内に抑えることができれば、FIREは実現可能というわけです。例えば1年間の生活資金が400万円である場合は、その25倍である1億円の資金が必要になります。

引用:【FIRE】達成には不動産投資を活用すべし!早期退職を実現する方法

この4%ルールというのはアメリカで生まれたもので、アメリカ株式の年間成長率7%からインフレ率3%を引いたものとなっています。よって日本では用いるには厳密には同じようにはなりません。日本は御存じの通り長期のデフレであり、インフレ率は3%とは程遠いものです。なので日本ではもう少しゆとりをもって計算することもできるようです。このようにどのくらいの資金があれば老後も安心なのかという目安になるため、FIREを目指す人たちにとっては非常に重宝されているルールです。

本当に問題はないのか

4%ルールが絶対であればこれを達成することによって老後はもう安心ということになりますが、当然そんなことはありません。いろいろなリスクが存在します。その中で先日読んだ記事に非常に興味深いものがありました。

The Financial Pointer

モーニングスターのクリスティン・ベンツ氏らが、老後破綻しない確率を90%と規定して、年あたりどれだけの割合で老後資金を使…

この記事によれば現在のような異常な低金利の中では引き出すことのできるお金は4%ではなく3.3%にするべきだといっています。つまり、今のような状態が続けば4%ルールは機能せず、破綻してしまうのです。通常、ポートフォリオは株式と債券を組み合わせて構成します。そしてそのバランスによって安定的に資産を運用していくことになりますが、現在のような低金利では予想したような収益を上げられないのだといっています。なので利回りをよくするためには株式のウェイトを増やすことになりますが、それでは破綻のリスクが増えてしまうのです。かといって債権を増やしても利回りが上がらず、こちらも破綻リスクが上昇する結果になるとのことです。

前提が狂えば仮説は何の役にも立たない

なんでもそうですが仮説というのは前提がしっかりあってこそ成り立つはずです。そこが揺らいでしまったらどうしようもありません。4%ルールについても過去に起こったことがこれからも続くという前提で計算されています。当たり前ですがそんな保証はどこにもありません。一度くるってしまえば再計算が必要となり、想定外の事態を招くこともあり得るでしょう。今回は昨今の超低金利が招いた債権の問題が要因でしたが、このようなことはいくらでも起こりえます。株式だって毎年7%も成長するとは限りません。この30年の日本を見ればそれは痛いほどよくわかることでしょう。もちろんアメリカが日本のような失敗をするとは限りませんし、そうはならないとは思います。ですが、未来に対して約束されたことなど何一つないのです。にもかかわらず、現在の予測される前提を鵜呑みにし、社会から離脱するということはとてつもないリスクをかかえていると思えてなりません。そのリスクが若いときに顕在化した場合はまだいいでしょう。しかし60歳を超えるような高齢者になったときに起こってしまえばもうどうすることもできなくなります。若ければ社会に復帰するということもできるでしょうし、新たな仕事を探すこともできるでしょう。しかし、アクシデントが高齢になったときに起きた場合、元の生活を取り戻すことはほぼ不可能となるのです。そんな大きなリスクをとってまでやるほどの価値が、FIREにあるとはとても私には思えません。

まとめ

今回は株式と債券のポートフォリオの問題から、FIREについての問題を考えてみました。私はFIREについては否定的な立場です。未来を完全に予想できない限りやるべきではないと思っています。今回の話も、想定された前提が崩れた時にどのようなことが起こるかという良い例です。今後も株式や債券が今のような状態で続くとは限りませんし、インフレ率もどうなるかわかりません。10年前、今日のような日本や世界を想像できた人はいるでしょうか。おそらくほとんどの人ができていないはずです。なのに早期にリタイヤし、その後何十年もの人生を決めつけてしまうというのは非常に危うい決定だと思います。今は人生100年時代といわれています。40歳でリタイヤしたら残りは60年です。今から60年前はどんな時代だったでしょうか。そしてその時の人たちが今の世界の状態を想像できていたとはとても思えません。今回の超低金利のような問題は今後も幾度となく起こっていくことでしょう。そのたびに理論が破綻する恐怖に怯えながら生活するというのは、とてもじゃないけど素晴らしい人生とは思えません。もちろんこれは私の個人的な意見であって、異論のある方も多いと思います。実際、米国株式は過去のいかなる逆境も耐え抜き、右肩上がりの成長を続けています。おそらくはこの流れは続いていくとは思いますが、それを保証するものはないというだけの話で、一言で言えば心配性ゆえの悲観論です。これをどう思うかは皆さん次第です。