スタグフレーションが起こるかもしれないし、起こらないかもしれない

未来を予想するとき、歴史を振り返るということは重要です。過去に何が起こったのか、どのような状況に起きてそれは起きたのかということを知ることは、将来を考えるには必要なことです。それを考えるヒントとしてジェフリー・ガンドラック氏の発言がThe Financial Pointerに取り上げられていたので紹介したいと思います。

現在の状況は過去にスタグフレーションが起こったときに似ている

「現在の実質利回りは記録上最大のマイナス幅だ。ジミー・カーター時代と同様かそれ以上にマイナスになっている。」

引用:The Financial Pointer 【短信】奇妙な類似性と対称性:ジェフリー・ガンドラック より

ジェフリー・ガンドラック氏はこのように述べ、現在の実質利回りの状況からジミー・カーター大統領の時と同じような状況になっていると述べています。カーター大統領の時というのは経済は非常に高インフレに悩まされており、結果として米国はスタグフレーションに陥ることになります。その結果ボルカーショックという非常に強力なインフレ対策をせざるを得なくなり、景気は大きく後退することになりました。その当時の状況と今が非常に似ているといっています。

ただし、金利については異常に低くなっている

しかし、すべてがスタグフレーションが起きた時と同じというわけではないようです。

1970年代終わり・80年代初めと多くの点で似てくるのに、ほぼ鑑写しになるということ。高インフレ、低実質利回り、地政学的問題・・・、多くのことが同じだ。しかし、当時は金利が極めて高く、今は極めて低い。

引用:The Financial Pointer 【短信】奇妙な類似性と対称性:ジェフリー・ガンドラック より

当時との比較で、経済状況や国際政治の問題など多くの共通点が同じであるけれど、金利については全く違うといっています。当時はとても金利は高くなっていましたが、現在の状況はというと大規模な金融緩和の影響もあり、非常に低くなっているのです。つまり、様々な状況により過去に起こったようなスタグフレーションの危険性が懸念されますが、この低金利の影響がどうなるのかについてはわからないのです。このことについてはガンドラック氏は結論を述べていないようです。この低金利がいい方に作用するのか、悪い方に作用するのか、正直私のような凡人にはわからないといったところです。

これから未知の世界へと進んでいく

少なくとも現在のような高インフレの状況がいいとは思いませんし、今後金利の上昇等により修正されるということは確実でしょう。しかし、それが大きな痛みと伴い行われるのか、そうではなくきちんと成長を伴い、うまくコントロールされながらインフレを抑制できるのかはわからないといったところです。ガンドラック氏も株価が割高であるのにもかかわらず、債券はマイナスであり、インフレも続いていくという状況は投資家を悩ませるだろうといっています。つまり現在の状況というのはなかなか正確な未来予想が難しいとガンドラック氏は見ているのだと思います。新型コロナウィルスパンデミックの影響により大幅な金融緩和をせざるを得ず、結果として今まで経験したことのない状況を我々は作り出してしまったのかもしれません。

原則を曲げず、継続していくことが大切

結局のところ、将来がどうなるかというのはだれにもわからないということです。もちろん過去を学ぶということは非常に大切ですし、軽視してはいけませんが絶対ということはないのです。かならず予想外の事態ということも想定しておかなければなりません。現在の状況を考えてみると、このままいけば過去と同じようなスタグフレーションに陥る可能性は少なくはないでしょう。多くの事象において非常に過去にスタグフレーションが起こった状況と似通っており、そのリスクは日に日に高くなっています。しかし、そうなるかどうかというのはだれにもわかりません。なので結局はあらゆる想定される状況について準備しておくというほかないのでしょう。

まとめ

今日は過去との比較によってこれからの経済状況がどうなるのかを考えてみました。多くの事象で過去のスタグフレーションが起こった時と似ているということから考えても、最悪の事態というのは想定せざるを得ないでしょう。特に今は国際政治の舞台も非常に不透明な状況が多くあり、また米国も以前ほどの圧倒的な強さというのはありません。なので、予想よりも悪い方に進んでいくということも十分あるのではないかと個人的には思っています。しかし、そうであっても私ができることというのは原則にのっとり、淡々と株式に投資していくことが相対的にいいのだろうとは思います。少なくとも現在の資本主義の経済が機能しているうちは株価は上昇していくでしょうし、異常なほどの低金利であれば債権などは正直持つ意味がないと思います。ここはレイ・ダリオ氏の発言通り、きちんと分散させたポートフォリオを守っていくというのが一番賢明な選択だと思いました。