ロシア全海域で海運コストが上昇。経済制裁がさらに強まるが、日本も他人事ではない。

ウクライナ情勢はいまだ落ち着く様子を見せません。停戦協議も難航し、戦争の長期化の可能性がかなり高まっている状態ではないかと思われます。ロシアに対する経済制裁の動きも日に日に強くなっており、特にキーウでの民間人虐殺のニュースが出てからはさらに厳しくなってきています。そんな中、さらにロシアを苦しめるであろうニュースが出てきています。ロンドン保険市場がロシア全海域を高リスク地域に指定するとのことです。これによりロシア海域を通行する際のコストが大幅に上昇するため、ますますロシアを苦しめることになりそうです。そういうわけで今日は先日発表されたロンドン保険市場のニュースについてみていきます。

ロシア全海域で保険料が上昇する

4月4日、ロンドン保険市場はロシア全海域について高リスク地域のリストに追加するという発表を行いました。

[ロンドン 4日 ロイター] – ロンドン保険市場の戦争委員会連合(JWC)は4日、ロシアの全海域を高リスク地域のリストに追加した。海運コストが上昇し、ロシアの物流が一段と圧迫される可能性が高い。

引用:ロイターより

このことにより、海運コストが上昇し、ロシア国内での物流がさらに厳しくなるものと思われます。船舶というのは運航する際のリスク低減として保険の加入を義務付けられています。そしてそのリスク評価というのはロンドンの保険市場で行われるようになっているのです。そのロンドン市場でこの度、ロシアの全海域でのリスク評価を上げたために船舶が加入を義務付けられている保険料が値上がりし、コストを上昇させることになるのです。今回の決定により、ロシアはさらなる経済的危機に見舞われることになるでしょう。ただでさえ金融制裁により物価は上昇していましたが、それに追い打ちをかけるような動きです。当然国民生活や軍をはじめとする国家の運営にも影響は避けられず、ますますロシアは厳しい状況に追い込まれることになりそうです。

ロシアに対する制裁強化は日本にとっても覚悟が必要

ロシアに対する制裁の動きは日に日に厳しくなってきています。特に民間人の虐殺のニュースが出てからは顕著になっており、今まで自国経済やエネルギー事情を考慮して何とかうまくやっていこうという雰囲気もありましたが、それも徐々になくなってきている感じがします。さすがにこの状況は無視できないといった感じなのでしょう。その影響は当然日本にも出てくるはずです。今のところ日本はロシアに対する経済制裁はそれなりにやっているのではないかと思われます。しかし、サハリン2のやその他のエネルギー関連のプロジェクトは今のところ継続するつもりのようです。しかし、ここまで状況が変わってくるのであれば日本もそう遠くない将来、厳しい決断をしなければならない状態になる可能性も十分にあるでしょう。そうなればエネルギー問題はますます重要になってくると思われます。ただでさえ日本は停電リスクが上昇しています。最近も少し寒気が来たというだけで停電が起こるかもしれないと大騒ぎになったところです。もし、この状況でロシアからの天然資源が入ってこないとなるとさらに電力事情をはじめとしてエネルギー問題は国家を揺るがす大問題となるでしょう。そういう意味でもいい加減この問題にまじめに取り組むべき時期が来たのであろうと思います。そのためには原発や石炭火力などあらゆる可能性を排除せず議論をすべきです。高い理想を持つことも重要ですが、現実をしっかり見るということも非常に大切です。

まとめ

今日はロシアに対する船舶への制裁から日本のエネルギー問題について考えてみました。船舶の保険に対する制裁は非常に怖い問題であるなと感じました。日本も島国ですから、仮にこの制裁を受けたとすると、とんでもない経済危機が来ることは明らかです。そんな厳しいことをあっさりとできてしまうということがすごいなと思いました。欧米が築き上げた現在の国際社会のルールというのはなかなか破るのは難しいのでしょう。中国はまさにそれに挑戦しているのだろうと思いますが、やっぱり余計なことはしない方がいいのではないかと感じます。ロシアに対する制裁は今後も厳しくなっていくことが予想されます。それは日本のエネルギーに直接かかわってくる問題であり、無視できるものではありません。おそらくは国の方でも最悪の事態を想定したシミュレーションをしているのだとは思います。さすがに今の時点で何も考えていないというのはないと思いますが、そろそろ国民に対してもその説明をした方がいいのではないかと思います。今後のエネルギー問題に対して我々も無関心ではいられません。電気代をはじめとするコストの上昇を受け入れるのか、原発や石炭火力などあらゆる方法を駆使してそれを最小限に抑えるのか。考えなければいけないことはたくさんありますし、我々はそろそろ決断しないといけないのだろうと感じています。