ウクライナ侵攻は株式市場にとってはプラスに働く側面もある

ロシアによるウクライナ侵攻が依然続いています。予想よりもウクライナ軍の抵抗が強く、当初ロシアの思い描いていた通りには侵攻は進んでいないようです。しかし、ウクライナが現状どうなっているのかは不透明であり、いわゆるフェイクニュースの類も多くみられるため、真実がどうなのかは確信を持って言えないというのが現状です。ただ、今回のウクライナ侵攻によって世界経済の状況は大きく変更されるのではないかと思われます。ウクライナ侵攻は株式市場にとっては完全にサプライズであり、しかもその大きさはとても巨大で、株式市場だけでなく世界中に重大な影響を与えるでしょう。というわけで今日はウクライナ侵攻をうけて投資環境はどう変わるのかということを考えていきたいと思います。

依然侵攻は続いている

先週24日にロシアはウクライナへの侵攻を開始しました。まだ開始してから一週間程度というところですが、当初可能性を指摘されていた東部新ロシアは地域のみでなく、ウクライナ全土を掌握する全面侵攻が実施されているため、大きな混乱が生じています。今のところウクライナ軍は予想以上の抵抗を見せており、ロシアの想定通りには事が進んでいないようです。しかし、依然状況はウクライナにとって厳しいことは変わりなく、今後も厳しい戦闘が続くことでしょう。

株式市場にとってはすでに過去のこととなりつつあるが、油断はできない

このニュースは株式市場に大きな影響を与えました。ロシアによるウクライナ侵攻のニュースが伝わると世界中の株式市場が暴落をしました。明らかに今回の事態を市場は予想していなかったものとみられます。しかし、週末には一転して株価は急上昇しました。今回の事態は明らかに予想外の出来事であり、不透明要素であることは間違いありません。ですが、そのマイナス要素をすでに市場が織り込んでしまったために行き過ぎた株価下落が修正され始めたのだと思われます。今回のウクライナ侵攻が短期間で終わり、ロシアがウクライナを完全に支配下に置くのか、またはウクライナがロシアを撃退するのかわかりませんが、想定以内の損害で済むのであれば株式市場にとってはすでも大した影響はなくなったものとみられます。もちろん今後のことはどうなるのかわかりませんので注意は必要です。特に予想外にウクライナ軍の抵抗が激しいということは戦闘の長期化を意味する可能性があります。また、週末にはロシアをSWIFTから排除することが決定され、世界経済に大きな影響が出ることは確実です。そういう意味でも不安定要素が完全に焼失したわけではないことを認識しておくべきでしょう。

当該国の事情を考えるとインフレに与える影響が大きい

そのうえで投資家として今後はどのような姿勢で臨めばいいのでしょうか。今回の事態は完全に想定外のものです。よって侵攻前の状況とは大きく変化していると考えた方がいいと思われます。ロシアとウクライナという当該国の経済を考えると、最も大きな影響というのは商品価格に与える影響でしょう。ロシアは天然資源の輸出大国です。またウクライナは欧州でも有数の穀倉地帯を抱えている食糧輸出大国でもあります。そしてロシアも小麦等の輸出額が大きく、それらの商品価格に影響が出ることはおそらく避けられないでしょう。ただでさえインフレが高止まりしている中、さらに火に油を注ぐ様な事態であり、一層経済に打撃を与えるだろう懸念が多く出ています。

経済を想定以上に悪化させる可能性が高い

そのため米国では経済が大きく停滞する懸念が出てきています。インフレが高止まりする反面、労働市場は順調ですが、今回のことで物価が大きく上昇し、消費が大きく落ち込む可能性が出てきました。そうなれば当然企業も従業員をこれまで通り雇おうとは思わないでしょう。そうなると順調だった労働市場もマイナスとなり、予想以上に景気が悪化していく可能性が大きくなったのではないかと思われます。

株価にとってはむしろプラスの側面もある

そうなるとFRBの政策にも影響は確実に出てくるでしょう。ウクライナ侵攻前には今年中にかなりの金利上昇が予想され、市場はそれを織り込んだ形で推移していました。しかし、労働市場が悪くなってくるとFRBとしても今までのようなタカ派の姿勢を貫き通すのは難しいかもしれません。雇用の安定化というのはFRBの最重要命題の一つです。そこが揺らぐのであれば今までのような強気の姿勢ではいられなくなるはずです。そうなると金利上昇のペースは予想よりも緩やかなものとなり、株式市場にとってはプラスに働くかもしれないのです。

まとめ

今日はウクライナ侵攻による今後の経済の変化について考えてみました。現在のところウクライナ侵攻は株式市場にとってすでに重大懸念事項ではなくなった感があります。それは先週末の株価が上昇したことにもよく表れており、特別大きなサプライズがない限り、今後は市場に与える影響というのは軽微でしょう。しかし、ロシアのSWIFT排除や侵攻の長期化の可能性等まだまだ不安定要素は多岐にわたるため注意は必要です。それらのことを考えると今年の経済状況は予想よりも悪くなる可能性が大きくなったと思われます。そのためFRBの金融政策は当初よりもタカ派になることはなく、株価にとってはプラスに働く可能性もあるのではないかと感じます。そのため、特に今後のFRBの動向には注意が必要です。