円安の流れは今後も続くのか

日米の金融政策の違いも大きく影響していると思われますが、為替相場は大きく円安方向へと動いています。最近では少しその流れも落ち着いてきたようにも思えますが、方向性としてはまだ変わっていないのではないかと思います。この円安の要因というのは先ほども述べた通り、日米の金融政策の違いによるところが大きいと思いますが、それ以外にもいろいろと存在します。その中で、投機筋の為替取引によるところもあるのです。ヘッジファンドの中には日銀の金融政策がこのままではもたず、大きな政策転換が起こると予想して円を売る動きが出ていたのです。そのため円安に拍車がかかっていたというのですが、その動きが若干修正されてきているようです。というわけで今日は投機筋の円売りについてみていきたいと思います。

円安の流れが変化するか

ここしばらくは為替相場は円安方向へと一直線に動いてきました。日米の金利差が開いていく一方ということもあり、当然といえば当然です。しかし、ここへ来てその流れが変化するのではないかという話も出てきています。

約24年ぶりの安値水準が続く円相場の今後について、海外勢を中心に円の反転上昇を予想する声が目立ち始めた。一方、国内勢の間ではなお円売りの余地があるとの見方が根強い。6カ月後に126円、1年後に120円まで円が反発すると予想するのはピクテ・ウェルス・マネジメントの為替ストラテジスト、リュック・リュイエ氏だ。同氏はリポートで、円安をけん引してきた内外金利差の拡大余地は限定的と分析。経済見通しの悪化により世界的に金利が抑制されることで、低金利の円にとって潜在的に支援材料になるとみている。ナショナルオーストラリア銀行(NAB)の通貨ストラテジスト、ロドリゴ・キャトリル氏は、米金融当局がインフレの押し下げに成功すればドルは年末ごろにピークを付け、米国の利上げサイクルの休止と日本銀行が刺激策を徐々に解除すると示唆することにより、ドル・円は年末までに130円台前半に向かうと予想。「その前に145円に向けてオーバーシュートする可能性は排除できないが、上昇が大きくなればなるほど、下落も激しくなる」とみている。一方、「日銀が金融緩和を続けているので、円安は仕方がない」と、外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は話す。今後米金利が上昇すればドル・円ももう少し上がる余地があるとし、「142円程度で天井を打つ」ことをメインシナリオに、場合によっては147円まで円安が進む可能性があると予想。「円をショートするチャンスはまだある。逆張りはまだ早い」とみる。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストも「遠からず日本だけがマイナス金利国になり、円が調達通貨の筆頭になる」中で、「ドル高の転換が起きるまでは円売り回転が効く」と指摘する。米国のインフレのピークアウト、将来の利下げや景気後退のさらなる織り込みといったドル安材料が出てくるのは9月以降で、それまでは日本の貿易赤字を背景に143~145円までいく可能性があるとみている。ブルームバーグが集計したアナリストの予想によると、9月末のドル・円相場の予想中央値は135円、年末は132円となっている。

引用:Bloombergより

このように最近は今後の為替相場の展開について円高を予想する動きも多くなってきたように思います。少し前には誰もが円安といっていたような気がしますが随分と変わってきたなという印象です。個人的には日米の金融政策の差を考えると大きく円高に動くという可能性は低いのではないかなとは思います。しかし、最近米国では景気減速を表すような経済指標の発表が相次いでいます。そのためFRBの金融政策も思っていたほど強力なものにならないのではないかという観測もあるくらいです。もし、その予想通りFRBの引き締め政策が緩やかなものになるとなれば米ドルは売られ、円は買われるということになるでしょう。そういう意味では円高説の言うのもあながち空想だとは言っていられないのかなとも思います。

先行きは不透明

いずれにせよ、今後の先行きというのは不透明な状況になってきたということです。日銀は金融緩和の姿勢を全く崩すようには見えませんが、FRBはインフレ抑制に強い意志を見せてはいますが、多少の柔軟性も持たせているような感じです。なのでFRBの政策が予想外に変更されるということは十分に考えられることであり、為替相場もそれらに大きく左右される展開となるでしょう。今後はこれまでのような円安ドル高一辺倒で考えてはいけないようになるのではないかと思っています。

まとめ

今日は今後の為替相場について考えてみました。しばらく為替については円安と考えていればいいというような状況でしたが、今後は少し状況が変わってくるのかもしれません。もちろん何も確定したことはないので決めつけることはよくありませんが、少なくとも方向感は以前ほど確定的ではないのかなという印象です。いずれにせよ相場の先行きというのはだれにもわかりません。何が起きても大丈夫なようにしっかりと準備しておき、決めつけはしないようにしましょう。