価格決定力のない企業は淘汰されていきそう

インフレが進む中、株式市場でも今までのようなスタンスでいては利益を上げられないような状況になる可能性が強くなっています。今のところはそこまで大きく下げているということはありませんが、今後利上げやQTなどにより、株式市場は大きく変化する可能性があります。その可能性については多くの識者がすでに述べていることであり、将来に向けていろいろと準備をしている人も多いことでしょう。これからの投資判断の一つとしてはグロース株よりもバリュー株が良いということが一般的に言われていますが、それ以上に重要なことは価格決定権を持っているかどうかということです。それがあるとないとでは大きく違ってくるでしょう。そういう意味で今日は今後の投資対象の選定について考えてみます。

低インフレの時代は終わった

アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授はFOX BUSINESSのインタビューで以下のように述べています。

この数十年低インフレが続いたが、それも終わったと考えている。インフレ上昇の時代に入ったと考えており、問題はどれだけ上昇するかだ。3%で落ち着くなら良性のシナリオで、5%なら問題を引き起こすだろう。

引用:The Financial Pointerより

日本もそうですが、ここ数年は世界的に低インフレの時代が長く続きました。しかし、現在のインフレを見てもわかるように、明らかに流れは変わりました。これからはインフレが高い状態が長期間続く可能性が出てきています。問題はインフレ率がどの程度になるかということです。今日中の言うとおり、3%程度のインフレ率に収束していくようであれば、経済にとって非常に良い状態になるということです。逆にそれ以上のインフレ率が継続するようであれば経済にとって悪影響が大きくなり、景気後退に陥るということでしょう。

実際にどのようなインフレが訪れるのかということは誰にもわからない

実際にインフレ率がどのように推移するのかはわかりません。悲観的な人はスタグフレーションなどを予想し、しばらくは景気後退局面が続くと言っています。楽観的な人はしばらくは停滞するが、年後半に向けて株価は持ち直すという人もいます。どのシナリオが正しいのかは結局のところ歴史が証明することになり、我々にはわからないものです。なので個人投資家としてできることはよりリスクを少ない方法で身を守るということになるのではないかと思います。

価格決定力のない企業は淘汰される

その方法の一つとして教授は価格決定権のある銘柄に投資せよと言っています。

価値を提供する点で株式が(金利・インフレ上昇に)ついていく唯一の道は、利益・収入をほぼ同じ率で増やすことだ。簡単にいって、もしもインフレを顧客に転嫁できなければ、企業は圧迫されてしまう。だから、価格決定力が一部の企業にインフレ転嫁の能力を与え、それら銘柄が高インフレで良い投資先となる。

引用:The Financial Pointerより

インフレにより、企業のコストが上昇することが見込まれます。しかし、それをきちんと消費者に転嫁できるのであればコストが上昇したとしても問題ないでしょう。逆にコストを転換できないのであればそれは自分たちの利益を削るということになり、経営は悪化することになります。日本ではコストを転嫁するということがなかなかできずに長期に渡るデフレに陥りました。米国では今の所企業は価格転嫁に前向きであり、価格競争は置きづらい環境のようです。なのでそのような価格競争をしなくてもいいような商品を持っている企業というのは今後は生き残っていくことになるのでしょう。そうでなければこれだけインフレが続く中では生き残るのは難しそうです。

まとめ

今日はインフレが今後も続くと見られる状況での投資方法について考えてみました。これからの物価上昇の勢いというのは、これまでのように低いということはなくなるでしょう。そうであればきちんとその上昇分のコストを転嫁できる商品を持っている企業でないと生き残っていくのは厳しくなると思われます。そういう意味でも強力なブランド力を持っている企業の株を買うというのがこれからのインフレの時代には必要になると思われます。もし、個別銘柄を狙うというのであれば、このような視点を持つということは非常に重要になるでしょう。