バリュー株投資に対する批判を受けても私はやめない

バリュー株投資は私が行っている投資方法で、バークシャーハサウェイのウォーレン・バフェットも行っている非常に有名な投資方法です。しかし、近年はGAFAMを初めとするテクノロジー銘柄などのグロース株投資の成績が非常に良いために、あまり評価されなくなってきている気がします。先日The Financial Pointerにアスワス・ダモダラン教授のインタビューが掲載され、バリュー株投資に対して批判的な意見をのべていました。今日はこのインタビューについて私が思うところを述べてみたいと思います。

記事の概要

バリュー株投資に対する批判

記事ではダモダラン教授はバリュー株投資について以下のようなことを述べています。

バリュー投資家にとっての教訓は、これら株式に対して投資家が払ってもよいとする推計額が直近期について報告された売上・利益との比較で計算される場合、ほぼいつも、仮にそうでなくても、割高に見えてしまうことだ。

引用:The Financial Pointer 【短信】近視眼的なバリュー投資:アスワス・ダモダランより

言い回しがよくわかりづらいですが、要はある株式の正当な価格を直近の売り上げや利益をもとに計算した場合、大抵その価値というのは現在の株価に対して低くなることが多いといっているのです。つまり株価は割高になってみえるということですね。なぜかというと、直近の売り上げや利益というのはあくまで過去の話だからです。過去の数字からこのくらいの株価が妥当だろうと計算しています。しかし、株価というのは投資家がその株が将来どうなるかという思惑によって動いています。つまり未来を表しているのです。その会社の業績が上がると思えば当然株価は上がります。しかし、過去をもとにその株価の価値を出したところで将来に対する価値は反映されません。なので、過去だけを評価するバリュー株投資は多くの場合、現在の株価を割高に評価してしまうということでしょう。

教授の提案

そこで教授はバリュー株投資に対してこのようなアドバイスをしています。

若く損を出している企業に投資する人を不合理で無知と批判し、単に割高に見えるからという理由で投資対象からそれら株式を除外するバリュー投資家は近視眼的だ。単純な株価指標を排し、これら企業の価値を求めようとし、もしも割安な株価がついていれば、それを買うことこそ真のバリュー投資だ。

引用:The Financial Pointer 【短信】近視眼的なバリュー投資:アスワス・ダモダランより

売り上げや利益などの指標などを評価せず、将来にわたってその企業がどのくらいの利益を生み出せるのかをきちんと考えろということです。つまり、未来をきちんと評価しろといっています。そしてその結果、割安な株価を見つけて投資するのがバリュー株投資の本当の姿なのです。

教授の言うことはあくまで理想論であり実行不可能

ダモダラン教授の言っていることは至極まともなことだと思います。投資は過去ではなく、未来にするものなのできちんとその企業の将来を予測することはとても重要なことでしょう。どんなに過去が優れていたとしても、今後ずっとその業績が続く保証はどこにもありません。例えば経営者が変わればその経営方針が大きく変わり、全く違った会社になるということも十分にありえます。東京電力はかつて非常に安定的な企業として、投資家からとても人気のある企業でした。しかし、東日本大震災による原子力発電所の事故により株価は大きく下落してしまいました。このように、いかに過去が素晴らしくても今後もずっと素晴らしいということは言えないのです。もちろんこんなことを予想できる人間はそういないでしょうけど、未来の予想に過去の評価では役に立たないということのいい例だと思います。

結局はインデックスに投資するか割安株を長期保有するか

そうはいってもダモダラン教授の言っていることはあくまで理想論であり、一般的な個人投資家にはとてもまねできないことだと思います。一つの企業を丹念に調べ上げ、未来を正確に予想することなど素人にはまず無理でしょう。アクティブファンドがインデックスファンドにまず勝てないという現実を見る限り、プロだってかなり厳しいと思います。数少ないアクティブ運用で素晴らしい成績を収めているウォーレン・バフェットでさえ、最近はさえない成績で批判されているくらいです。そう考えると素人ができるまともな投資方法としてはやはりインデックスに対する投資か、割安株が正当な評価を得るまで気長に待つかしかないような気がします。時間という武器は個人投資家が持てる最大の武器ですから、これを十分に使えばバリュー株投資も有効だと個人的には思っています。

まとめ

今日はアスワス・ダモダラン教授のインタビューをもとに、投資に対する私の考えを述べてみました。理想としては教授の言うことは非常に正しく、それが実行できればどんなに素晴らしいかと思います。おそらくはほとんどの投資家が頭ではわかっていることではないかと思います。しかし、なかなかそれをうまく評価する方法が存在しないので、それぞれの投資家が自分なりの投資方法で未来を予想しようとしているのでしょう。個人投資家からすれば、できることなど本当に限られています。その中できちんと利益を上げられる方法といえば、おとなしくインデックスに投資するか、バリュー株に対して長期投資をして行くしかないと思っています。なので私はこれからもインデックスに対する積立投資と、バリュー株投資を続けていくつもりです。それが一番楽で確実だと思います。変に欲を出してもろくなことにはなりません。